- 日帰り
愛知県半田市の新美南吉記念館へ。「ごんぎつね」の秘密に迫る旅
半田(愛知県)
予算:8,000円〜
・旅行する時期やタイミングにより変動します。あくまでも目安ですので、旅行前にご自身でご確認ください。
・料金は1名あたりの参考価格で、宿泊施設は1泊2食付き週末料金を参考にしています。
・ガソリン代は入っていません。
更新日:2023/03/22
日本の小学校に通っていれば、必ず習う童話「ごんぎつね」。そのごんには、学校では教えない秘密があります。ごんの暮らした愛知県半田市で、作者である新美南吉の生家や記念館などを巡り、その秘密をどう受け止めたらよいか思索する旅にご一緒いたします。ご家族で楽しめる日帰り旅をどうぞ。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 旅のはじめとして、名古屋鉄道の半田口駅を見学します。というのも、半田口駅は、ごんのふるさとを巡る最寄りの鉄道駅になるので。原作者・新美南吉の記念館も近く、駅舎内には「ごんぎつね」関連のサインがあふれています。地域からどれだけ愛されているキャラクターか伝わってきますよね♡ (画像は現在と異なる場合があります)
- ★ 国土交通省の「移動等円滑化取組報告書」によれば、2021(令和3)年度の1日平均乗降人員は約1,000人。愛知県内では、少ないほうから数えて115位〜120位ほどの立ち位置になります。県内トータルで472の鉄道駅があるそうです
ミツカンミュージアム
ミツカンミュージアム
時の蔵・弁才船
大地の蔵
風の回廊

すし大陸──お寿司とお酢は切っても切れない関係
光の庭
創業の地でミツカンの歴史に触れる施設。運河沿いの黒塀の景観とともに、伝統・革新・環境を大切に考え、酢づくりの歴史や醸造の技術、食文化の魅力を次世代へ伝える体験型博物館。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ごんの秘密を明かす前に、半田市を勉強していきましょう。ますは江戸時代に海運業、醸造業で財をなした地元の名家・中埜家について。本家から分家した初代・中野又左衛門が1804(文化元)年に酢店を創業し、それが現在の食酢メーカー最大手・ミツカンになっているのです
- ★ 同社のすごいところは、それまでの米酢を、酒粕を原料とした「粕酢(かすず)」に造り変えたところです。本家・中埜家は造り酒屋も営んでおり、酒樽に酢酸菌が混入すると台無しになってしまうので、その技法はあり得ないものでした
- ★ 江戸で握り寿司の原型が流行し始めたことに目をつけた又左衛門は、この粕酢を半田運河の海運力に乗せて江戸で売り込んでゆきます。すると粕酢の甘みが寿司に合うと江戸庶民から評判になり……以降の歴史は、ぜひミュージアムで体験していきましょう
半田赤レンガ建物(旧カブトビール工場)
半田赤レンガ建物(旧カブトビール工場)

常設展示室

ライトアップされた建物正面

企画展示室

レトロなカブトビール

「半田赤レンガマルシェ」の様子
日本のビール黎明期、1898(明治31)年にカブトビールの製造工場として誕生。地方都市・半田から一流ブランドを目指し、果敢に大手ビールメーカーに挑んだ起業家たちの精神と技術を現代に伝える。半田市の代表的な文化遺産。
画像提供:半田赤レンガ建物

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ カブトビールとは、明治期から昭和初期まで存在したビールブランド。前出の中埜酢店(現・ミツカン)四代目の又左衛門がビール醸造事業に着手したのがそのはじまりです。醸造設備から原料に至るまで本場ドイツから取り寄せ、あくまでもドイツビールの味わいにこだわりぬいた本格派のブランドでした
- ★ レンガ建築って、なぜか心温まるんですよね。横浜の「赤レンガ倉庫」もそうですし……って、設計者が同じ妻木頼黄(つまき よりなか)。東京・日本橋の装飾部も彼の設計だそうです
- ★ 国の登録有形文化財であり、近代化産業遺産に指定されています。半田運河と「新美南吉記念館」の中間に位置することもあり、観光の回遊拠点として2015年から常時公開されました。毎月第4日曜日には「半田赤レンガマルシェ」が開催されていますよ〜
カフェ&ビアホール Re-BRICK

カフェ&ビアホール Re-BRICK

知多和牛のローストビーフ丼ランチ

ソースは醸造の町・半田ならでは

ジャーマンプレート

カブトビール
半田赤レンガ建物内のカフェ&ビアホール。レトロな空間の中で、復刻した名物・生カブトビールと、おいしい料理をゆったりと楽しめる。 ランチやティータイム、幻想的な雰囲気のナイトタイムなど、ほかでは味わえない時間を。
画像提供:半田赤レンガ建物

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★昼食は、半田赤レンガ建物内のカフェ&ビアホールでとることにしましょう。オススメは、半田市内にある小栗牧場の知多和牛を使用したローストビーフ丼。カブトビールに漬込んだ赤身肉は、脂が控えめで、しっかりした旨味を堪能できます。特製ソースは、半田市内にある醸造会社キッコウトミのオリジナルソース。お肉の上には、内藤養鶏の「ごんのたまご」がのっています。完全なる地産地消。半田市バンザーイ!
- ★ドライブ旅なので、運転手はアルコールダメよ。もちろんお土産ならOK!

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 半田市のご当地お菓子をお土産にしましょう。工場直売の本店です。「せんべい」とありますが、もちもちとした和生菓子です。1560年、桶狭間の戦いで徳川家康が知多半島へ逃れるなか、立ち寄った半田の百姓家で食し、以後、献上物とさせたと伝わる銘菓です
- ★ 近年、伝統を守りながら革新をすべく、上品で飽きのこない「抹茶味」を新作として開発。使用する抹茶は愛知県西尾産100%です。実は、旅色のコンシェルジュ・中山さんがお近くのご出身で、幼少の頃から慣れ親しんだ特産お菓子だといいます。おいしいのでぜひと絶賛しておりました。う〜ん、お抹茶がうまいっ!

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ここから「ごんぎつね」となります。まずは作者・新美南吉の来歴をたどっていきましょう。道順は乱れますが、彼の生家から巡るのがオススメのコースです
- ★ 南吉は、大正2年7月30日、父・渡辺多蔵、母・りゑの次男としてこの家に生まれました。父は畳屋をなりわいとし、のちに継母となる志んは下駄屋を営んでいました……と、こういう語りそのものが、どこか「日本昔ばなし」めいていますよね
- ★ 傾斜地に建てられたため、生家の構造は複雑で、表からは一階建てに見えますが、裏にまわるとニ階建てになっています
- ★ お気づきになりましたか? そうです、南吉は本来、渡辺家に生まれたのです。ですが、渡辺姓ではなくなり、やがてこの生家でも一人、新美姓で過ごすことになりました。それはなぜか。答えは……次の訪問先で

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 南吉は、渡邊多蔵の次男として生まれましたが、4歳で実母を亡くします。そして、8歳のときに母方の系譜になる新美家へ養子に出され、この家で養母・新美志も、との二人暮らしが始まるのですが、寂しさに耐えられず、5ヶ月足らずで渡邊家に戻ってしまうのでした
- ★ このときの経験が……というかショックが、後の童話作家としての視点やテーマに大きく影響しているといわれています。前述のように、生家に戻っても南吉は一人、新美姓のまま孤独を感じていました。狐のごんも、一人ぼっちでしたよね
新美南吉記念館
新美南吉記念館
ユニークなデザインの外観
リニューアルされた展示室入口

「手袋を買いに」の帽子屋
原文と目される冒頭を刻んだ「権狐」碑
1994年、童話「ごんぎつね」の舞台とされる中山の地に開設。敷地南側を「童話の森」として整備するなど、自然との調和をデザインした建築設計もユニーク。2023年には新美南吉生誕110年を機に展示内容をリニューアルしている。
画像提供:新美南吉記念館

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ついにやってきました。愛知県民だけでなく、全国の教育関係者が多く訪れるこの施設に、ごんの真実は眠っています
- ★ 「ごん狐」は、児童雑誌「赤い鳥」1932(昭和7)年1月号に掲載され世に出ました。1956年に初めて国語の教科書に採用されると、次々と採用されるようになり、昭和55年には全社が採用するに至ります。つまり、日本の小学校に通っていれば、4年生の2学期に必ずごんと出合う、というわけです
- ★ そのごんの秘密を明かします。はっきり言いましょう。教科書の「ごんぎつね」は、実は新美南吉が書いたものとは、まるで“別もの”なのです。また、物語の元に「口伝」があったといわれますが、その事実はありません。ただし……と、ここから先は記念館で真実を確かめてください。記念館では、事の次第をつまびらかにしていますから(ついでにでいいので、NPO文学旅行のBLOGへもどうぞ……と宣伝です )
- ★ 教科書の「ごんぎつね」は、「赤い鳥」運動の創始者である児童文学者・鈴木三重吉が朱(あか)入れ(原稿を修正すること)したものなのです。それも大量に。これを、いわば原作者と編集者の共同作業によって普遍的な物語になったとみるか、それとも権利意識の薄かった時代の産物に「才能とは何か?」と疑問を持つか、はたまた世に出るときの「運」について思いを致すか、あなたは何をどう感じるでしょうか?
- ★ 子どもへは成長してから説明するとして、大人として思索するには、実際に読み比べるのが一番です。その意味で記念館は、大人の観賞にも充分堪える文化施設なのです
ごんぎつねの湯

ごんぎつねの湯

外観

内湯

玄関夜

熱い滝湯と洞窟湯
木の香り漂う純和風な浴室と休憩室、日本庭園に囲まれた露天風呂。地下1,500mの地層から汲む天然温泉は59.2℃と県内有数の高温。源泉かけ流しで、泉質はナトリウム塩化物強塩泉。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ 旅も終盤です。ごんぎつねの名を冠した源泉掛け流しの温泉に浸かりながら、「新美南吉記念館」で得た知識をゆっくりと整理して、思索を深めてみてはいかがでしょう?
- ★ 露天風呂は源泉掛け流し。洞窟湯、滝湯、寝湯、うたせ湯、歩行湯、などなど、楽しみ方は豊富で、お子さんも喜ぶこと請け合いです。かといって、あまりはしゃぐと周りのお客さまに迷惑ですから、温泉のマナーを教える良い機会になるかもしれません。いきなり湯船に入るべからず!
まるは食堂

まるは食堂
ごんぎつね定食
海鮮丼
メニューが充実
昭和25年創業のまるは食堂は、名古屋市内4店舗、常滑市2店舗、愛知県南知多に2店舗を展開する。名物ジャンボエビフライをはじめ、地元の獲れたての魚介類を楽しめる。

鹿子沢ヒコーキのおすすめポイント
- ★ ここはやっぱり、オリジナルメニューの「ごんぎつね定食」をチョイス。名物のジャンボエビフライとお刺身の二つが味わえます。欲張りだなぁ〜
- ★ ほかにも、特製だしを使った「ごんぎつねうどん」など、オリジナルメニューが充実しています
- ★ 運転手はノンアルコールでね! 次回は必ず電車で来ようっと
詳細は各施設にお問い合わせください。
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