日本武尊の時代から続く奥州の名湯で
レトロな温泉情緒と季節のフルーツを堪能
福島市街から北へ車で30分ほど。阿武隈川水系の摺上川と、その支流である赤川や小川周辺に広がる飯坂温泉。宮城県の鳴子温泉、秋保温泉とともに奥州三名湯の1つに数えられています。その歴史は古く、2世紀頃に日本武尊が東征の際、この地に湧く「佐波子湯(さばこゆ)」に浸かり病を癒したとの伝説が残っているほど。その後、江戸時代には旅が一般化して多くの湯治客が訪れるようになり、さらに松尾芭蕉が奥の細道の途中でこの地に立ち寄ったことから、全国的にその名が知られるようになりました。現在は、大小さまざまな温泉旅館のほか、地元の人々が日常使いする素朴な共同浴場が9つあり、なかでもシンボル的な存在が木造建築の「鯖湖湯」です。温泉が掛け流しされた湯船が男女それぞれに1つあるだけのシンプルな浴室で、この地で受け継がれる日本古来の温泉文化が味わえます。また、福島市は日本でも有数のフルーツ王国。温泉で癒されたあとは、飯坂周辺に点在する果樹園で、さくらんぼやモモ狩りに挑戦してみてはいかがでしょう。
文/山下あつこ、佐藤千鶴子(LoLo Creation)
効能/冷え性、疲労回復、健康増進など
旧堀切邸
江戸時代から続く豪農・豪商で、飯坂の発展に尽力した堀切家の邸宅。84坪もある母屋や、県内最古の土蔵と伝わる「十軒蔵」などの歴史的建造物が見学できるほか、足湯や手湯もあります。
医王寺
開基は平安時代の天長3(826)年と伝わり、「鯖野の薬師」として親しまれてきた寺院。飯坂を治めていた佐藤一族の菩提寺で、松尾芭蕉ゆかりのお寺としても知られています。
竹灯籠づくり体験
幻想的な光のアートが暗闇に浮かび上がる「竹灯籠」の製作体験。作業は好きな絵柄を青竹に貼り付け、電動ドリルで穴を開けてデザインします。体験料は2000円で毎週木・土曜の10時から医王寺にて開催。
さくらんぼ狩り
温泉街から東北中央自動車道福島大笹生ICへと続く県道5号線、通称「フルーツライン」沿いには果物畑が広がり、観光果樹園や直売所が数多く並びます。6月中旬から楽しめるさくらんぼをはじめ、モモやナシ、ブドウ、リンゴなど、旬の果物が勢ぞろい。