高級品のイメージはありますが、
スーパーなどでリーズナブルなものも買えます。
どんな違いがあるのでしょう?
せっかくなら最上級のメロンを、お得にメロンを楽しみたい!
そんな思いを胸に豊洲市場へ行ってきました。
写真、文/佐藤 潮.(effect)
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創業1935年、豊洲市場の仲卸会社「丸大一」三代目。1971年、千葉県に生まれ、幼いころから家業である青果卸売業の道に進むと決心していたそう。2020年1月には市場内の商業施設「江戸前場下町(えどまえじょうかまち)」にスイーツ専門店「果物問屋にしかわ」をオープン。最上級のメロンを使用した新作スイーツの販売も4月中頃から順次スタートしています!
「築地から続く伝統としてメロンだけは特別扱いです」と話す西川さん。1999年の法改正により、競りによる取引は原則的には廃止されましたが、水産物ではマグロ、そして青果ではメロンだけは別格。毎朝8時からの競りが、いまも豊洲市場の名物です。「国産マスクメロンはドバイ、マカオ、アメリカなど世界中から高い評価を集めています。なかでもナンバーワンは静岡県産クラウンメロンですね」。他の品種とは異なり、1つの苗から1玉しか育てない最上級のメロン。おいしさが凝縮されているという、その味わいやいかに!?
「静岡マスクメロンケーキボックス」790円。外でも食べやすいケース入り。特製ディプロマットクリームが果実の甘さを引き立てます
マスクメロンとして市場に流通しているのは、茨城県産や熊本県産のアールスメロンがほとんど。一般的に1玉4000円以上の値が付く静岡県産クラウンメロンは、高級店でなければスイーツの素材として使うことは難しいのです。そこで「最上級の風味を多くの方に楽しんいただきたい」と、西川さんはスイーツ専門店を開始。実際に静岡クラウンメロンはみずみずしさが段違い。果肉たっぷり、はじけるような香りと甘みが口一杯に広がります。
事前に申し込みせずとも見学者デッキから市場の様子を楽しめることもあり、多くの観光客が見込まれていた豊洲市場。しかし、西川さんがスイーツ専門店をスタートさせた2020年1月は、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大と同時期でした。そんな厳しい状況にも負けず、心地よいテラス席で旬の食材が堪能できる「江戸前場下町」にて、金曜と土曜だけに規模を縮小しながら絶品スイーツを提供。2022年4月25日には、ついに市場見学が再開される見通し。西川さんの自宅がある船橋法典駅の近くではじめた新店舗も大盛況です。
果物問屋にしかわ 豊洲店
住所/東京都江東区豊洲6-3-12 豊洲江戸前場下町マルシェ棟6
電話/03-5534-9915
営業/9:00~17:00
定休/月曜日〜木曜日、日曜日、祝日、市場休
アクセス/ゆりかもめ 市場前駅2A口から徒歩約1分
駐車場/458台(千客万来パーキング)
果物問屋にしかわ 船橋法典店
住所/千葉県船橋市藤原2-17-18 ワイズコート102
電話/047-712-2410
営業/10:00~19:00
定休/月曜日、水曜日
アクセス/JR武蔵野線 船橋法典駅から徒歩約2分
駐車場/なし
戦争中、ラバウルでバナナだけを食べて3年近く飢えをしのいだ祖父が、戦後まずしい日本のためにはじめたバナナの商い。そこから事業を広げ、現在は47都道府県だけでなく世界各地の青果も取り揃えています。なかでもメロンの仕入れに関しては、目利きばかりの豊洲市場でも五本の指には入るはずですよ。ホテルやスーパーだけでなく、ミシュランで星を獲得しているようなレストランにも、日々おいしい果物を届けています。
全国の価格基準に大きな影響を与えている豊洲の目利き。
どのようにメロンのおいしさを見極めているのでしょう?
「メロンの顔と声で分かる」と西川さんは話しますが……
その熟練のスキルを特別に詳しく教えてもらいました!
メロンの顔はそれぞれまったく異なります。まずはヘタの形に注目してください。しっかりと太さがあり、まっすぐTの字になっているのが、きちんと栄養が届いている証です。網目模様がくっきりと盛り上がり、360°細かく均等に広がっているのも、全体に栄養が行き渡っているからこそ。あとは少し色白で丸顔なのが、おいしいマスクメロンの特徴ですね。
温室栽培で大切に育てているマスクメロンは、年間を通して品質と価格が安定しています。価格が跳ね上がるのは、お中元、お歳暮、中国の春節など、贈答用として需要が高まる時期だけ。顔つきの良いものが最も多く出回るのは7月や8月ですが、その旬は品種により変わります。例えば静岡クラウンメロンの場合、20種類ほどの品種に改良されていて、四季に合わせて使い分けているんです。寒い冬は熟度が上がりやすい品種、温かい夏は過熟しにくい品種が育てられています。
追熟することで糖度が増す果物もありますが、メロンの甘さは寝かせても変化しません。とはいえ、時間が経つごとに段々と柔らかくなるので、熟度をコントロールする必要はあります。タイミングを測るため、指先でノックするように軽く叩いてメロンの声を聞いてあげましょう。競り落としてから常温で大体4〜5日ほど、重く鈍い声になったら食べごろです。冷蔵庫に長時間入れると様々な匂いを吸い取ってしまいます。カットする3時間前ぐらいから冷やすのがオススメですね。
地域や商品により規格は異なりますが、市場で取引される果物には等級が定められていて、ランクが高い順から「秀」「優」「良」などと明記されています。静岡クラウンメロンの場合は「富士」「山」「白」「雪」の順。最上位の「富士」は100ケースに1つあるかないか、競りでも希少な存在です。生産者さんのお名前やケースの重量なども大切な判断基準ですが、最も重要なのはメロンの顔ですね。