800年以上の歴史の中で
僧侶や津軽藩主を癒してきた津軽の名湯
青森県津軽地方の南端、大鰐(おおわに)町。町の中心を流れる平川の両岸には、レトロな銭湯や老舗の温泉宿、近代的な旅館が立ち並び、温泉客を迎えています。大鰐温泉は800年以上の歴史を持ち、古くから津軽の奥座敷として親しまれてきました。開湯の歴史を遡ると、平安末期から鎌倉初期頃、東国行脚中の円智上人が発見したと伝わっています。円智上人は、本尊である大日如来を移奉するため、蔵館(くらだて)に高伯寺を建立していたところ病に倒れてしまいました。その時夢に童子が現れ、「この地に温泉あり。土用丑の日に沐浴すべし」というお告げがあり、その言葉通りに沐浴したところ快復した、といいます。また、江戸時代に初代津軽藩主となった津軽為信公も、夢のお告げに従って大鰐温泉で目を洗ったところ、眼病が快癒したというのです。時は流れ、明治28(1895)年に奥羽本線大鰐駅が開業したことから、大勢の湯治客で温泉場は賑わいました。無色透明の湯は肌にやさしく、洗い上がりはすべすべに。また、保温性に優れているので湯上がりもしばらくポカポカとした温かさが続きます。5月下旬は温泉街の南側にある茶臼山公園のツツジが見頃を迎える頃。花見とともに訪れたい温泉です。
文/清水由香利(RUNS)
効能/神経痛、冷え性、胃腸病、皮膚病など
神岡山 大円寺
大日如来を本尊とする大円寺。“大鰐の大日様”として篤い信仰を集めています。干支の未(ひつじ)と申(さる)も祀られており、朱色の山門には未と申の模様が彫られています。
ホットパーク加賀助
町内を流れる平川沿いにある足湯。かつて津軽の奥座敷として栄えた加賀助旅館の跡地に作られました。近くには餅菓子店などもあり、甘味をいただきながら浸かるのもおすすめです。
大鰐温泉もやし
約400年前から、温泉熱と温泉水のみで栽培されている津軽伝統野菜のひとつです。津軽三代藩主・信義が大鰐に湯治で訪れる際には必ず献上されたといいます。シャキシャキとした歯触りが特徴です。
弘前公園
弘前藩主・津軽家代々の居城であった弘前城の敷地跡に広がる公園。弘前城は江戸時代に築かれた東北唯一の現存天守です。例年、おおむね4月下旬には桜が満開を迎え、5月5日まで弘前桜まつりを開催しています。