美作国が生んだ恵みを食べよう名産品ガイド

美作エリアには、豊かな自然と澄んだ空気の中で育てられた美咲町産の卵を使った「たまごかけごはん」や、奈義町産のなぎビーフやおかやま黒豚を使ったメニューなど、ここでしか味わえないグルメが豊富です。ほかにも、奥津地方の姫とうがらしや加工品や新庄村のひめのもちはおみやげにも最適。地域の名産品が集う道の駅くめなんにもぜひ立ち寄りましょう。

文／鵜川みゆき・安井直美（エディターズ）

鏡野町を代表する特産品の一つに数えられるのが「姫とうがらし」。唐辛子の国内消費量のうち、国産はわずか数％にすぎないと言われるなかで、姫とうがらしは鏡野町奥津地域の固有種として存在感を放っています。サイズは大型で、口に入れると少し遅れてまろやかな辛みがやってくるのが特徴です。1998（平成10）年秋頃からは、地元のNPO法人てっちりこが姫とうがらしを使った加工品の特産品化を目指して商品を開発。現在、ドレッシングや味噌、醤油などを「辛美人」という商品名でシリーズとして販売するほか、一味や佃煮、柚子胡椒、ふりかけなど、幅広い商品に展開しています。

地元養鶏場で作られた色つや、風味、鮮度のどれをとっても抜群の良さを誇るブランド卵と、『日本の棚田百選』にも選定された美咲町の棚田で栽培された棚田米を組み合わせたたまごかけごはん。シンプルでありながら、素材の味がダイレクトに楽しめる、なんともぜいたくな一品です。そんな極上のたまごかけごはんが味わえるのが、美咲町のたまごかけごはん専門店「食堂かめっち」。看板メニューの「黄福定食」では、県内産の薄口醤油を使った専用の醤油を加えて、美咲流たまごかけごはんの真髄を堪能できます。

県北に位置する新庄村は、夏の昼と夜とで気温の差が大きく、おいしい餅米を作るのに適した地域です。そんな新庄村では全域で「ヒメノモチ」という餅米を栽培しています。ブナの原生林が広がる毛無山から湧き出る清流と、肉用牛の有機堆肥に恵まれた大地、中山間地ゆえの昼夜の大きな寒暖差。これらの自然環境が、東北地方を原産とするヒメノモチの穂を豊かに実らせているのです。このヒメノモチの蒸し米を杵でついてできあがる真っ白なお餅はつややかで伸びがあり、きめ細かな肌質が特徴です。

氷ノ山後山那岐山（ひょうのせんうしろやまなぎさん）国定公園に指定されている中国山地の秀峰・那岐山の麓にある「那岐山麓山の駅」。こちらのレストランで味わえるのは奈義町特産の「なぎビーフ」や、「おかやま黒豚」がメインの料理。適度な霜降りでうまみのある赤身が自慢のなぎビーフはソテーやカレー、ステーキなどで、繊維が細かくやわらかで豊かな風味があるおかやま黒豚は、トンカツや生姜焼きなどで味わえます。なぎビーフのステーキは2日前までの予約制なのでご注意を。

岡山市と津山市をつなぐ国道53号の中間に位置する「道の駅くめなん」には、地域の特産品やお菓子、手作りのクラフトなどがそろっています。オリジナルのゆずソフトは、久米南町の名物であるゆずの果汁を使い、さわやかなゆずの酸味とソフトクリームの甘みがほどよくマッチした一品です。食堂では豆腐、肉、魚のいずれかが主菜の3種類の御膳があり、いずれも副菜に地元の野菜を取り入れたヘルシー志向のメニューを組み合わせています。数量限定で、メニューの内容は時期により変更しますので、早めの来店がおすすめです。