60年の歳月をかけた作品「包まれた凱旋門」に触れる旅

東京都

2022.10.17

LINEでシェア
はてなでシェア
pocketでシェア
60年の歳月をかけた作品「包まれた凱旋門」に触れる旅

撮影:吉村昌也

みなさまこんにちは、大石絵理です。すっかり気温も下がり、あっという間に夏が終わってしまいましたね。もう少し夏をひきずりたかったので少し寂しい気持ちになりますが、秋といえば芸術の季節! 今回は、東京ミッドタウンのミッドタウン・ガーデンで開催中の企画展「クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”」を見に行きました。過ごしやすいこの季節に、ぜひ企画展へお出かけをして、作品の制作過程から実現までに触れてみてください。

目次

閉じる

60年の歳月を経た悲願の夢「L'Arc de Triomphe, Wrapped」の長い道のり

夫婦でプロジェクトを手掛けた作品制作の背景

「包まれた凱旋門、パリ、1961-2021」の制作過程を知る

「21_21 DESIGN SIGHT」で作品に触れてみませんか?

60年の歳月を経た悲願の夢「L'Arc de Triomphe, Wrapped」の長い道のり

2021年9月、パリの象徴ともいえるエトワール凱旋門が布で覆われたことはご存じでしょうか。現代美術作家のクリストとジャンヌ=クロードが、60年もの歳月をかけて企画されていたプロジェクト「包まれた凱旋門、パリ、1961-2021」が現実のものとなった瞬間です。クリストとジャンヌ=クロードとって悲願の夢でもあった作品の完成に、あたりは歓声に包まれました。

企画展では、「包まれた凱旋門、パリ、1961-2021」制作の背景から実現までの過程を紹介します。また開催にあたって、パリと東京を拠点に活躍する映像作家、パスカル・ルランをディレクターとして迎え、たくさんの映像作品も紹介されています。全て見ると2時間ほどかかるみたいなので、時間に余裕を持ってきてくださいね。

夫婦でプロジェクトを手掛けた作品制作の背景

クリストとジャンヌ=クロードは1935年6月13日、同じ日に別々の場所で誕生しました。1958年にパリで運命的な出会いを果たし、ともにモニュメンタルな環境芸術作品を制作する仲になります。二人は大規模なプロジェクトとして「包まれた凱旋門」を構想しますが、2009年にジャンヌ=クロード、2020年にクリストがこの世を去ることに。しかし、たくさんの芸術関係者の協力のもと、60年という月日を経て、2021年9月に「L'Arc de Triomphe, Wrapped, Paris, 1961-2021(包まれた凱旋門)」が実現したのです。

このような背景を知り、「芸術の都」とも呼ばれているパリは日本に比べ、人々が芸術を近くに感じながら生きていて、魅力的に思えます。日本の文化も上品でとても美しく素晴らしいのですが、もっとアートが身近な存在になってほしいです。

「包まれた凱旋門、パリ、1961-2021」の制作過程を知る

撮影:吉村昌也

企画展では、制作過程の様子がたくさん紹介されています。このように設計図や模型も展示されていて、制作の裏側まで見ることができるところが企画展のおすすめポイント。完成した様子だけではなく、先ほども紹介した二人の出会いから作品の構想、準備、実現までを順番に展開することで、興味深く鑑賞できるよう工夫されています。

会場では実際のプロジェクトで使用されたものと同じ布とロープが展示されているのです。生で見ると迫力があり、布には光沢があることがよくわかります。

銀色の25,000平方メートルものリサイクル可能な布と、3,000メートルもある赤いロープで、16日間にわたりラッピングされました。こちらは当時の写真。パリの街並みの中にスタイリッシュな作品がアンバランスに映っています。プロジェクトがいかに壮大なものであったかが伝わるのではないでしょうか。

「21_21 DESIGN SIGHT」で作品に触れてみませんか?

60年もの歳月をかけた長いプロジェクトの制作過程を紹介しました。普段は一つの作品について、というよりは色々な作品を一気に紹介させていただくことが多かったのですが、このように一つの大きなプロジェクトについて深堀りしていくのも面白かったです。企画展は東京ミッドタウンのミッドタウン・ガーデンにある「21_21 DESIGN SIGHT」で行われています。会期は来年の2月までと長めに開催されているので、ぜひチェックしてみてください。

◆クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”
会場:21_21 DESIGN SIGHT
住所:東京都港区赤坂9-7-6
会期:~2023年2月12日(日)
開館時間:10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日、年末年始(2022年12月27日〜2023年1月3日)、展示替え期間
入場料:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
(15名以上は各料金から200円引き、いずれも消費税込)

Related Tag

#アート旅 #旅色アンバサダー #パリ #凱旋門 #東京 #六本木

Author

アート旅 大石絵理

Ambassador

アート旅アート旅

大石絵理

1993年12月22日、東京都生まれ。高校2年生の時にモデルとしてデビュー。ロンドン留学時代、美術館に訪れたことがきっかけでアート鑑賞が趣味に。モデルとして活動し、アパレルブランド「KOL」をプロデュースしている。また、TV、雑誌、広告と多岐にわたって活動中。

Articles

アート旅 大石絵理

黒と白で表現された世界。ヴァロットンの木版画に触れる旅

アート旅 大石絵理

【埼玉】ゴッホの世界に没入。デジタルアートを全身で浴びる

アート旅 大石絵理

「OKETA COLLECTION『Mariage −骨董から現代アート−』展」でユニークなコレクションに触れる旅

New articles

- 新着記事 -

GWは混雑回避! 旅色LIKESメンバーや著名な連載作家からゆったり旅する術を学ぼう
  • NEW

全国

2024.04.27

GWは混雑回避! 旅色LIKESメンバーや著名な連載作家からゆったり旅する術を学ぼう

tabiiro 旅色編集部

旅色編集部

tabiiro

北陸の隠れた観光地・高岡を路面電車でのんびり ご当地グルメも味わう大人旅のススメ
  • NEW

富山県

2024.04.27

北陸の隠れた観光地・高岡を路面電車でのんびり ご当地グルメも味わう大人旅のススメ

旅色LIKES メンバー

メンバー

旅色LIKES

「これからの沖縄・那覇観光は“何度来ても楽しめる”がキーワード」 沖縄観光コンベンションビューロー 黒島伸仁さんインタビュー
  • NEW

沖縄県

2024.04.25

「これからの沖縄・那覇観光は“何度来ても楽しめる”がキーワード」 沖縄観光コンベンションビューロー 黒島伸仁さんインタビュー

編集部 ヨシカワ

ヨシカワ

編集部

沖縄のソウルフード「ブルーシール」って結局なに!? 県民に愛される理由を聞いてみた
  • NEW

沖縄県

2024.04.25

沖縄のソウルフード「ブルーシール」って結局なに!? 県民に愛される理由を聞いてみた

編集部 ヨシカワ

ヨシカワ

編集部

“スタッフが魅力”のホテルサンパレス球陽館に聞く、覚えられるホテルの秘訣
  • NEW

沖縄県

2024.04.25

“スタッフが魅力”のホテルサンパレス球陽館に聞く、覚えられるホテルの秘訣

編集部 ホソブチ

ホソブチ

編集部

武田梨奈さんと初夏の陽気に包まれた沖縄・那覇へ『月刊旅色2024年5月号』
  • NEW

沖縄県

2024.04.25

武田梨奈さんと初夏の陽気に包まれた沖縄・那覇へ『月刊旅色2024年5月号』

編集部 ヨシカワ

ヨシカワ

編集部

More

Authors

自分だけの旅のテーマや、専門的な知識をもとに、新しい旅スタイルを提案します。

tabiiro 旅色編集部

tabiiro

旅色編集部

旅色LIKES メンバー

旅色LIKES旅色LIKES

メンバー

編集部 ヨシカワ

編集部

ヨシカワ

編集部 ホソブチ

編集部

ホソブチ

甲信&ドライブ旅 みっちゃん

甲信&ドライブ旅甲信&ドライブ旅

みっちゃん

LIKESレポーター ERI

LIKESレポーターLIKESレポーター

ERI

女子旅 ほしこ

女子旅女子旅

ほしこ

建築史家 倉方俊輔

建築史家

倉方俊輔