歴史情緒あふれる面影と秋田藩主も愛でた
とろみのある湯に心癒される
秋田県と岩手県の県境にある標高1478mの乳頭山。その麓に湧く乳頭温泉郷の8つの湯のひとつが鶴の湯温泉です。開湯は江戸時代で、寛永15(1638)年に秋田藩主佐竹義隆が湯治に訪れ、警護の者たちの詰所として本陣が設けられました。現在、本陣は宿泊者用の食事処と5組限定の客室となっています。旅の道中で散策を楽しむなら、角館武家屋敷に立ち寄るのがおすすめ。多くの武家屋敷を実際に見学することができるので、江戸時代にタイムスリップした気分になれます。また、角館から鶴の湯温泉へ向かう途中には田沢湖があり、ここにある御座石神社は縁結びのご利益があると有名です。鶴の湯で最も人気が高い湯は、白湯が沸く混浴露天風呂です。青みがかった乳白色の湯にはとろみがあり、肌がつるつるに。陽が落ちて辺りが暗くなると、本陣の前に作られたかまくらにろうそくの灯がともされます。雪景色の美しい冬におすすめの秘湯です。
文/鈴木阿由美
- 泉質/
- 含硫黄ナトリウム・カルシウム 塩化物・炭酸水素泉、ほか
- 効能/
- 慢性婦人病、高血圧 動脈硬化症など
4種類の源泉が堪能できる
歴史を受け継ぐ名宿
歴史を受け継ぐ名宿
鶴の湯温泉
乳頭温泉郷の中でも最も古い歴史をもつ宿。山に囲まれ、茅葺屋根の本陣や杉皮葺きの湯小屋が建ち並び、秘湯ムードが漂います。秋田藩主の警護の詰所として使われた「本陣」は、5組限定の客室となっていて宿の一番人気。宿泊棟はほかにも「1~3号館」「東本陣」「新本陣」があり、客室は純和風の素朴な和室です。温泉は、敷地内から湧き出ている白湯、黒湯、中の湯、滝の湯の4つの源泉を引き入れ、女性が入れる浴槽は8と豊富(冬期)。夕食は、岩魚の串焼きや山菜料理、名物「山の芋鍋」が温かな囲炉裏で振る舞われます。地元・神代産の山の芋の団子やきのこ、山菜がたっぷりと入り、特製味噌で仕立てた「山の芋鍋」は絶品です。
住所/秋田県仙北市田沢湖田沢字先達沢国有林50
電話/0187-46-2139