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リアル移住者に聞きました 観音寺市のいいところ

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旅先として見どころの多い観音寺市は、住む場所としても魅力的です。そこで、東京から移住してきた浦 達生さん・聡子さんご夫妻に、移住のきっかけ、移住者の心得、観音寺市のいいところなど、ほかのまちを知るからこそわかる忖度のない意見を聞きました。 文/近藤由美

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リアル移住者に聞きました 観音寺市のいいところ
“お客さん”から“地元民”へ 農業や地域のお祭りが関係を深める

2010年に東京から観音寺市に移住。2人で農地を借りて独立し、2018年に株式会社URAfarmを立ち上げる。現在は、スタッフとともに香川県オリジナル品種のアスバラガス「さぬきのめざめ」をはじめ、レタス、青ネギ、ナスなど10種類以上の野菜を栽培。移住して5年目頃に、毎年10月に開催される観音寺市の一大イベント「さぬき豊浜ちょうさ祭」で総代を務めたことで、地域との信頼関係を深めることができたと振り返る。

観音寺市在住13年 浦 達生さん 46歳 / 聡子さん 39歳
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リアル移住者に聞きました 観音寺市のいいところ
田舎、一次産業への憧れを抱き2010年に観音寺市へ

―― 移住のきっかけを教えてください。

達生さん:僕は美術大学で学んでいて、当時トレンドだったベルリンへの留学も考えたんですが、まったく違うライフスタイルがしたくなって観音寺市へ移住しました。もともと田舎暮らしへの憧れがあって、観音寺市でレタス収穫のアルバイト募集を見つけたのがきっかけです。美術は自分で正解を見出して、つき詰めていく難しさがあるのに対して、農業は豊作だったり、「おいしかった」と喜ばれたり、いいものがわかりやすい。それに、自分の力だけで結果を出せることがしたかったんです。けれど実際に始めてみると「農業は、こんなに他人とかかわらないといけないのか!?」と驚きました。近所の人たちと同じ方向を向いて取り組まないと水の管理ひとつできません。協業性が求められるのだと知りました。
聡子さん:私は農業をテーマにした写真を撮っていたこともあって、自分が農業をすることに抵抗がなく、移住もすんなり決めました。時々、都会から農業体験をしに来てくれる方がいるんですが、土を触っているうちにみるみる元気になっていくんです。農業にはそんな見えない力もあるんだと思います。

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五穀豊穣を願うちょうさ祭りが地域との信頼関係を築く

―― 移住先に溶け込むために心がけたことはありますか?

達生さん:あいさつです。地方出身の友人に「何に気をつけたらいい?」と聞くと、「とにかくあいさつだ」と。だから、それだけは今も忠実に守っています。そして移住して5年くらい経った頃に、仲良くしてくれていた同世代の友人から「祭りはやらんといかんやろ」となかば強引に誘われて、「さぬき豊浜ちょうさ祭」の総代をしました。本当はお祭りとかイベントは大の苦手。けれど、地元の大切な行事ですし、楽しみにしている人も多い。大変な役回りでしたが、総代をしたことで信用を得たというか、地域のコミュニティに入れたような出来事になりました。
聡子さん:ちょうさ祭りは、女性には女性の仕事がたくさんあるんです。「ちょうさ」といわれる太鼓台と一緒に練り歩く子どもたちから目が離せないし、地域の方と一緒になって食事やお酒の準備に追われたり。そこで女性同士のつながりもできました。

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リアル移住者に聞きました 観音寺市のいいところ
お客さんから地元の人へ家族と接するような心地良さ

―― 観音寺市に来てからの13年でどんな変化がありましたか?

達生さん:最初は“お客さん”でしたから。みんな愛想よくしてくれたと思いますが13年経って、いい意味でしがらみみたいなものにしっかり巻き込まれたなと(笑) でも、こういう関わりの積み重ねで地域ができていると思うし、最近は移住して来たという感覚が薄れてきましたね。
聡子さん:ずっと変わらず親切で優しい方ばかりです。初めての子育てで「どうしよう……」と思うことがあると、近所の人が家族のように自然にサポートしてくれるんです。最近は急用ができると子どもを預けることもあるんですが、信頼関係があるので安心してお願いしています。
達生さん:それに、田舎ではインターネット上に情報はないんです。横の繋がりで情報が集まってくるんですよね。そういう意味でもこのまちに溶け込めて、いろいろな情報が入ってくるようになりました。うちの会社の倉庫や会社で働いてくれている外国人スタッフの寮は、そうした情報があって見つけることができたんですよ。
聡子さん:おいしいものの情報もそうです、口コミというか。例えば、直売所に行くと「◯◯さんの作ったトマトはおいしいよ」とか、こっそり耳打ちしてくださるんです。

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リアル移住者に聞きました 観音寺市のいいところ
環境や行政サポートにも恵まれた住みやすいちょうどいい田舎

―― 移住先として観音寺市のいいところを教えてください。

聡子さん:観音寺市は四国の真ん中あたりに位置しているので、どこへ行くのも便利。東京から友人が来てくれると、四国のいろいろなところへ案内しやすいんですよね。暮らしに不便はないし自然が多い。“ちょうどいい田舎”です。
達生さん:全国の自治体で行われていると思いますが、観音寺市も移住サポートをしっかりしてくれます。就農のためのプログラムや助成制度のほか、「空き家バンク」という制度があって一軒家も安く借りることができます。家もそうで、今もその家に住んでいます。僕自身、移住したときは農業法人を立ち上げるなんて考えもしませんでした。それでも、地域社会とかかわり、参加するなかで与えられた役割をするうちに今に至ります。移住といっても難しく考えず、その時にある暮らしを楽しむことから始めればいいと思いますね。

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