荒涼の夕日と漁港の朝日が絶景! 北海道・釧路から果ての地へ【前編】

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2019.11.11

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荒涼の夕日と漁港の朝日が絶景! 北海道・釧路から果ての地へ【前編】

目次

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釧路名物「勝手丼」が、楽しくって、おいしくって

海のスケールさえ違う? 街近くの桂恋漁港の開放感といったら!

広大な世界に、特大の虹がかかった!

世界の果て感すらあるさみしい土地の、色っぽい夕景

果ての街・標津の夜景が情緒的

壮大な朝焼けをバックに漁港がキラキラ。絶景は寝てる間に

ある秋の日「極寒になる前に行っとかなきゃ」と思い立ち、釧路へ飛びました。北海道でドローンを飛ばすのは初めてのことでしたが、いやぁもう、規模が違う、世界観が違う! 自然の全てが大きくて、広くて深くて、平伏したくなりました。そんな道東の2泊3日の旅を、2回に分けてお届けします。雪が溶けた季節を見据えて、お出かけ計画のご参考にしていただければうれしいです。

釧路名物「勝手丼」が、楽しくって、おいしくって

やってきました、北海道三大市場のひとつ「釧路和商市場」。午前中早めに空港に到着すると、早々に釧路駅にほど近いこちらに向かいました。ほら、例のアレで朝ごはんしたいなと。

例のアレというのは、自分好みのネタで勝手に作る「勝手丼」! これ、作法がとってもおもしろいんです。まずどこかのお店で丼ぶり入りのご飯を買い、市場内のあっちのお店であのネタ、こっちでこのネタ……という風にバラバラで買って丼に盛り付けていくという。広い市場を、丼ぶり片手にうろうろする人々が行き交う朝、なかなか妙な体験です(笑)。

ちなみにご飯は、ノーマルと酢飯の2種類、サイズは小・中・大から選べるのもうれしいところ。いくらテンションが上がっているとはいえ朝だし、何よりここは北海道。他にもたくさん食べたいものに巡り合うはずだから、わたしは午後という未来に希望を込めて「小・酢飯」140円を選択しました。

それにしても迷います。だって全部おいしそう! もうこれはおすすめを聞いて決めるのが吉かなと。あるお店でお母さんに聞いてみました。

「これこれ、タコ生きてるよー」

そう言って白く輝くタコの身をお箸でツンツン。すると、なんということでしょう、タコの身がムニュッ! あろうことか、タコさんウィンナーよりも細かく切り刻まれているというのに、動くとは。そんなわけで、驚愕の活タコを採用、あとは網走のニシンと釧路の鮭も盛っていただき、ご飯と合わせて計620円の勝手丼の一丁あがりです。市場の真ん中には飲食コーナーがあるので、そこに運んでいただきました。さすが北海道! とびきり新鮮で脂たっぷり、朝っぱらからこんないい思いしていいのでしょうか。

海のスケールさえ違う? 街近くの桂恋漁港の開放感といったら!

さてさて、グルメレポートはここまでとして、腹ごしらえを済ませたら行ってみましょう、北海道の大自然を味わいに。まずは釧路市内から車で20分ほどの桂恋漁港へ向かいます。なかなかの規模感の街を出てしばらく走ると、大きな海が見えてきました。いやあスーッとします、広い! いえ、他の地で見る海だって海なんだから広いんです。でもこの海に感じる特別なスケール感は何? 

走っているところがだだっ広くて、近くに高い山がないからでしょうか。また街から出てきた開放感も作用しているのでしょうか。広大で圧迫感ゼロの土地から眺める海のサイズにただただ感激、鼻歌が止まらなくなりました。

爽快! 真っ赤な灯台がかっこよくって。なにより、海の色が独特で。いえ、もしかしたらこの少々緑の入った透明感が北海道のスタンダードなのかも? ふだん南の海の方が見慣れている自分には驚きの青加減なのです。

そしてまた、なるほどここは北海道。このときちょうど12時ごろだったのですが、太陽の光が斜めです。太陽は真上にいないんですねぇ。

意外だったのは、テトラポットの小ささ。だだっ広い大胆な大地の広がる北海道の波は、どこもかしこもきっと大きいだろうと想像していたんです、短絡的だけど(笑)。でも、そりゃあ道内でも場所によって違いますよね。釧路周辺は穏やかなのでしょうか、小さめで角ばったテトリスタイプのテトラポットが積まれていました。

広大な世界に、特大の虹がかかった!

さて次の地へ。日本最大規模の砂嘴、野付半島を目指してひた走ります。自然の分厚い北海道をドライブするのは本当に気持ちがいいですね。この環境の中スイスイ走って、それだけでも北海道は来る価値があるなぁと改めて思いました。が! みなさんどうぞスピードにはご注意を。何度か覆面パトカーに切符を切られている車を見かけて、悪いことしてないのにヒヤッとする小市民っぷりを発揮しましたよ。調子に乗って運転しがちな土地では、どうやら警察の巡回が多いようで……お仕事おつかれさまです!

そうして調子よく走っていると、あらまぁ空に虹がかかりました! 虹が出ると、無条件で歓迎されてる気になりませんか? しかもこの虹、弧が特大でとびきり長持ち。3時間ほどかかっていたのでいろんなシチュエーションで拝むことができました、ラッキー!

世界の果て感すらあるさみしい土地の、色っぽい夕景

やってきました野付半島。ここは砂が堆積されてできた砂嘴で、28kmも続いているんです。土地の形成も独特だけど、目と鼻の先に国後島が望めるのも、またとびきり独特な感慨を授けてくれるんです。

国後島と野付半島の距離はたったの14kmとのこと。半島を走っている間ずっと横にいてくれて、山の形までくっきり見せてくれるというかなり身近な存在感。微妙な関係にあるとはとても思えません。ふだん関東にいて北方領土の話を聞いているときとはまるで違う問題意識を持ちました。

野付半島の先までやってきました。さみしい、さみしい世界です。幅の狭い薄っぺらい土地、立ち枯れた木々、まだらな草木、吹きすさぶ風。”果て感”満載です。ここはリアルに日本の果てだけど、なんとなく……世界の果てってこういう感じかなと思えてきます。ただ、ときおり鹿に出合うんですよ。命の気配をあまり感じないここでは、その姿にひときわほっこりするんです。

太陽は、沈んで姿が見えなくなってもこんなに魅力的。余韻たっぷり、切なく色っぽい宵の口です。

ところで……ここではドローンを飛ばせませんでした。なぜだか野付半島では飛ばそうとすると機体と送信機の映像電波が切れてしまうんですよ。ひとつ上の夕焼け写真はたまたま電波が繋がった時に撮った画像です。

理由は想像でしかないのですが、国後島の影響もあるのかもしれません。? 別の地で自衛隊の船が近くに停泊していた際にも同じ現象があったことから、もしやと思ってしまいました。

果ての街・標津の夜景が情緒的

野付半島の28kmの道中、あちこちでドローンのスイッチをいれて試したのですが、一向にまともに接続ができません。でも、標津(しべつ)の街に着くとようやっとまともに飛ばせる電池が入ったのです。やった! 

これは標津の夜景です。夜景といっても19時くらいですが、建物の灯はまばら、街灯のラインが際立っていてステキ。日本の果ての街に、静かな夜が降りてきました。

ちなみに、「標津」の読み方は難しいですよね。そしてなんだか不思議な語感。どうやらシベツがアイヌ語だからのようです。「鮭のいるところ」、「大きい川」を意味するんですって。

壮大な朝焼けをバックに漁港がキラキラ。絶景は寝てる間に

標津漁港の朝は、とびっきりの美景でした。まずは動画をどうぞ。

BGM:MusMus

太陽が昇る30分前、港の灯りは盛大で、緑と赤とオレンジ色の光がキラキラと揺れていました。灯のもとでは遠目ながらも人々の気配がたっぷりで、海では多くの漁船が波を作ってかけて行くんです。これまで南の離島の小さな港ばかり見てきたわたしにとって、こんなに活発な朝は初めてで! 

それにしても人の小ささが際立ちます。漁師の方々はずいぶん大きなエネルギーを発散して働いているはずだけれど、海の上ではなんて小さい。全てが崇高に目に映り……うっとりしながらドローンを飛ばしました。

港の先の長ーい防波堤の向こうから日の出です。弧を描く人工物と、昇り立ての太陽。独特な色気があります。

ちなみに、この写真の左には国後島が見えているんですよ。ここからは24kmほど。ドローンは正常でした。

防波堤の先の灯台へ歩いていくと、びっしり留っていたカモメたちが一斉に羽ばたいていきました。わたしひとりごときであの軍団が動くとは。動物の警戒心にはっとするし、どこか申し訳ないし、自分強いなぁとうすらびっくり。ん? 辺りが白い。しっかりほやほやの白いフンが残されていましたよ、完敗(笑)。

赤い灯台の下に、白いYの字見えますか? わたしです、ちっさ(笑)。防波堤は海の上の特別区、地上ではない地上、異次元みたいで大好きです。それにしても、早起きが報われまくる朝でした。

ところで、防波堤の付け根にこんなの発見しました。赤と水色のテトラポットがごろりごろり。これ、製作中でしょうか? もしかして型にセメントを流し込んでるとか? はたまたこの色のまま使うとか? 防波堤好きはテトラポットとも親交が深いので、どうにも気になっちゃいます。


そんなわけで、南の島で撮影していることの多い私ですが、今回は北海道の広大な土地に触れて、また違った魅力に出会うことができました。次回この続きをお伝えしますので、楽しみにしていてください!

Author

ドローン旅作家 とまこ

ドローン旅作家

とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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