【2024年大河ドラマ】京都・福井・滋賀にある紫式部ゆかりのスポット11選
歴史やものづくりに触れる旅スポットが好きな、旅色LIKESライター・長月あきです。2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』がまもなくスタートします。主人公は『源氏物語』で知られる平安時代の女流作家・紫式部。今回は、過去に私が訪れた京都・福井・滋賀にある紫式部ゆかりのスポットを紹介します。大河ドラマ聖地巡りに出かける方は参考にしてみてくださいね。
目次
紫式部はこんな人です
紫式部は平安時代中期の女流歌人・作家で、世界最古の長編小説といわれる『源氏物語』の作者です。藤原道長の娘で天皇の中宮(※1)であった藤原彰子(ふじわらのあきこ)に仕えた、女房(※2)の一人でもありました。生涯のほとんどを京の都で過ごしましたが、父の赴任に伴い、生涯でただ一度だけ、1年半ほどの期間を越前国(えちぜんのくに)(※3)で生活していた時期があります。なので、紫式部ゆかりの地は京都、福井、そしてその往路・復路にあたる滋賀などにあります。
※1 中宮:皇后につぐ后 (きさき) を指す言葉ですが、一条天皇のときに藤原定子(ふじわらのさだこ)と彰子の2人が皇后に立つことになったので、彰子を中宮と称すようになってからは「皇后につぐ后」を指すようになりました。
※2 女房:貴族に仕える女官。
※3 越前国:現在の福井県。
おすすめは夏! 紫式部の邸宅跡「廬山寺(ろざんじ)」/京都市上京区
紫式部が過ごした邸宅跡地に建つ寺院「廬山寺」。紫式部はここで生活し、『源氏物語』を執筆したのだそう。境内には源氏物語にちなんで「源氏庭(げんじてい)」と名付けられた庭園が。白砂と苔の美しい庭園には、紫式部の名前にちなんで紫の桔梗が。6月末から9月初め頃の開花時期には、縁側から美しい紫の花を眺められます。この時期に訪れると、桔梗の印が添えられた期間限定の御朱印もいただけますよ。内部は写真撮影禁止ですが、紫式部や源氏物語ゆかりの品が展示されており、写経体験もできます。
◆廬山寺
住所:京都市上京区寺町通り広小路上る北之辺町397
電話番号:075-231-0355
源氏庭拝観時間:9:00~16:00
休観日:元旦、2月1日~9日
拝観料:大人500円、小中学生400円
縁結びの御利益を求めて紫式部も通った? 「上賀茂(かみがも)神社」・「片岡社(かたおかのやしろ)」/京都市北区
上賀茂神社(正式名称:賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ))は京都で最も歴史ある神社の一つで、境内全域が「古都・京都の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されています。上賀茂神社の境内のにある片岡社は縁結びのご利益があるとされ、紫式部が度々参拝したといわれています。1,000年以上経っても、女性が恋愛成就を祈る気持ちは同じなのですね。『源氏物語』の中にも上賀茂神社のお祭り「葵祭(賀茂祭)」が出てくるなど、紫式部と縁のある神社です。
◆賀茂別雷神社(上賀茂神社)
住所:京都市北区上賀茂本山339番地
電話番号: 075-781-0011
紫式部のはじまりと終わりの地「紫野」/京都市北区
京都市北部にある「紫野」エリアは紫式部が生まれた地であり晩年を過ごした地といわれ、『源氏物語』にも登場する寺院・雲林院があります。雲林院は『源氏物語』だけでなく『古今和歌集』『大鏡』『伊勢物語』など、平安時代のさまざまな文学に登場する有名な大寺院だったそうですが、現在は観音堂と門だけが残るコンパクトな佇まいのお寺です。
◆雲林院
住所:京都市北区紫野雲林院町23
電話番号:075-431-1561
雲林院から歩いて10分足らずの場所にある、島津製作所(※4)の工場敷地の一角に紫式部のお墓があります。工場の敷地に食い込むような場所ですが、工場の敷地とは繋がっておらず通りから直接入れるので、一般の人も自由に見学できます。訪れた時期はちょうど夏の終わりで、入り口近くにある「ムラサキシキブ(※5)」の実が色づきはじめていました。9~10月くらいが見頃のようです。
※4 島津製作所:京都市中京区に本社を置く、分析計測機器・医療画像診断機・航空産業機器などを作るメーカー。
※5 ムラサキシキブ:秋に実る紫の実が美しい、日本原産の落葉低木。
◆紫式部墓所
住所:京都市北区紫野西御所田町
紫式部と国府資料館「紫ゆかりの館」/越前市
2021年4月にリニューアルオープンした比較的新しい資料館です。規模はそれほど大きくないのですが、紫式部が越前で過ごした時間や、越前で詠んだ歌などがわかりやすく紹介されています。アニメーション映像に加え、几帳(きちょう)(※6)風グラフィックによる解説や、紫式部一行の下向行列(都から地方にいく行列)を越前和紙で再現した和紙人形など、展示方法に様々な工夫が凝らされていて、大人から子どもまで楽しめる内容。これで入館料無料は嬉しい!
※6 几帳:平安時代以降の公家の邸宅で用いられていた調度品。 T字型の几(ものを置く台)に帷子(かたびら)と呼ばれる帳(蚊帳のようなもの)をかけて垂らし、目隠しや風よけ、間仕切りとして用いていました。
◆紫式部と国府資料館「紫ゆかりの館」
住所:福井県越前市東千福町21-12
電話番号:0778-43-5013
開館時間:9:00~17:00
入館料:無料
休館日:月曜日(月曜日が祝日または振替休日の時はその翌平日)、12月29日~1月3日
金色の紫式部像がある「紫式部公園」/越前市
紫ゆかりの館に隣接している公園で、紫式部像や歌碑、平安時代の寝殿造庭園などがあります。紫式部像はなんと3mほどの大きな金色の像。視線の先には、紫式部が眺めていたと言われる日野山があります。冬は寒さが厳しく、雪の多い越前国。京の都を想いながら日野山(ひのさん)(※7)を詠んだ紫式部の歌の歌碑が公園内にありました。歌の解説も近くにありましたよ。
今年2月23日には、越前市の武生(たけふ)中央公園に大河ドラマ館のオープンが予定されています。また、3月には北陸新幹線の越前たけふ駅が開業します。越前市はほかにも見どころがたくさんある街なので、大河ドラマ館オープンに併せて再訪するつもりです。
※7 日野山:福井県越前市と南条郡南越前町にまたがる山。福井平野から眺める山容が秀麗な景観を見せることから「越前富士」とも呼ばれています。
◆紫式部公園
住所:福井県越前市東千福町20-369
電話番号:0778-22-3012(越前市都市計画課)
開園時間:入園自由
源氏物語の執筆をはじめた花の寺「石山寺」/大津市
石山寺は滋賀県大津市の瀬田川のほとりにあり、古くから信仰を集める真言宗の大本山です。比較的、京の都に近く、平安時代の貴族の間では「石山詣」が盛んに行われていました。平安時代の女流文学者も多く訪れており、『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』などの文学作品にも登場しています。紫式部はこの石山寺で『源氏物語』の構想を得て執筆をはじめたといわれています。本堂の一角に紫式部が籠もったとされる「源氏の間」があり、『源氏物語』を執筆する紫式部の人形が置かれています。
2024年1月29日には、境内の明王院に「大河ドラマ館」が開館予定。さらに「恋」をテーマに平安時代の文化を楽しむことができる「源氏物語 恋するもののあはれ展」が境内の世尊院で同時開催予定です。また、石山寺では毎年春と秋に「石山寺と紫式部展」という展示が開催されていますが、2024年は春・夏・秋の3期にわたって、所蔵品が公開されるそうです。石山寺は花や紅葉の美しいお寺ですので、花の時期にあわせて訪れてもいいですね。門前には多くのグルメスポットが立ち並んでいますので、石山寺の参拝後、楽しんでみてはいかがでしょうか。
◆石山寺
住所:滋賀県大津市石山寺1-1-1
電話番号:077-537-0013
拝観時間:8:00~16:30 ※最終入山は~16:00
入山料:600円
越前への往路・復路にある「紫式部の歌碑」/滋賀県
越前国へ向かう際、また越前国から都に戻った際に滋賀県を通った紫式部。往路・復路には紫式部が詠んだ歌の歌碑がいくつか建てられています。紫式部が目にした風景を見に行きませんか。
白鬚神社境内の歌碑/高島市
越前国に向かう際は大津の打出浜から船に乗り、南から北に琵琶湖西岸を船で縦断したそう。途中、立ち寄った高島市にある三尾崎(みおがさき)の浜辺で詠んだ歌の歌碑が同市の白鬚神社の境内にあります。
◆白鬚神社
住所:滋賀県高島市鵜川215
電話番号:0740-36-1555
塩津浜周辺/長浜市
長浜市にある塩津浜に到着した紫式部一行は、塩津神社で旅路の無事を祈願し、塩津山を越えて越前国に向かいます。塩津山を越えるときに詠んだ歌の歌碑が長浜市西浅井町の塩津北口のバス停にあります。
◆塩津神社(鹽津神社)
住所:滋賀県長浜市西浅井町塩津浜547
百々(どうどう)神社の鳥居前/近江八幡市
越前国から京に帰る際は、琵琶湖の東岸を南下したようです。琵琶湖東岸の近江八幡市にある百々神社の鳥居の前に歌碑があります。琵琶湖に浮かぶ唯一の有人島・沖島を望んで詠んだ歌です。
◆百々神社
住所:滋賀県近江八幡市北津田町2
あやめ浜の湖岸道路沿い/野洲市
近江八幡からさらに南下した野洲市にあるあやめ浜の湖岸道路沿いにも、百々神社と同じ歌の歌碑があります。紫式部歌碑と湖岸道路に案内標識が出ていました。
◆野洲市の紫式部歌碑
住所:滋賀県野洲市喜合
電話番号:077-587-3710(野洲市観光物産協会)
平安貴族を主人公にしたはじめての大河ドラマが楽しみ!
平安時代を舞台にした大河ドラマは過去に何作か放映されていますが、平安貴族が主人公になるのは今回がはじめて。紫式部が『源氏物語』の作者ということは知っていても、その人物像についてはよくわからないので、ドラマの中でどんな風に描かれていくのか、いまからとても楽しみです。
紫式部の足跡を辿りつつ、平安貴族の暮らしに想いを馳せて、今年はゆかりの地を訪れてみませんか?