由緒ある神仏を巡る島根旅

由緒ある神仏を巡る島根旅

日御碕神社

島根県には神話に登場する神様を祀る神社や
松江城の鬼門を守るお寺など、歴史に彩られた寺社が数多く点在しています。
心静かにお参りし、古に思いを馳せる時間を楽しみましょう。

文/合津玲子

雲
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日沈宮と神の宮が鎮座する神社で夕日の美しさに心奪われる

日御碕神社
日御碕神社
日御碕神社

日御碕神社

島根県の西端に位置し、楼門を入って正面の下の宮(日沈宮)に天照大御神、右手上方の上の宮(神の宮)に素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀っています。社伝によれば、素戔嗚尊が「吾の神魂はこの柏葉の止まる所に住まん」といって投げた柏葉が日御碕に止まったという伝説に由来し、その後、経島(ふみしま)にあった日沈宮が現在地に遷座され、今の形になりました。伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」と伝えられ、夕日の美しさは県内屈指。毎年8月7日には夕日の祭りも行われています。鮮やかな朱色の権現造(ごんげんづくり)の社殿は、徳川3代将軍家光の命で着工され、寛永21(1644)年に完成したもの。楼門、回廊を含む14棟の社殿が国の重要文化財に指定されており、必見です。神社のご利益は厄除け、縁結びなどです。

住所/出雲市大社町日御碕455
電話/0853-54-5261

日御碕神社
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小泉八雲も訪れた霊験あらたかな目の薬師さま

一畑薬師

島根半島の中心部にある標高200mの一畑山山頂にあり、1300段の石段をのぼった先にある境内からは、出雲神話の国引きの舞台が一望できます。創建は寛平6(894)年。漁師の与市が赤浦海中から引き揚げた薬師如来をご本尊として祀っています。盲目だった与市の母の目が開いたことから“目の薬師如来”として慕われ、戦国時代にも幼児の目が治るなど霊験あらたかだったことから「目の薬師さま」「子どもの無事成長の仏さま」として広く信仰されるようになりました。一畑で栽培される特別なお茶で淹れる「お茶湯(おちゃとう)」は目を守ってくれるといわれ、上皇上皇后両陛下(平成天皇皇后両陛下)もお召し上がりになりました。坐禅や写経の体験もできます。坐禅体験のみ前日までの予約が必要です。

住所/出雲市小境町803番地
電話/0853-67-0111

一畑薬師
一畑薬師
一畑薬師
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神々が最後に立ち寄るといわれる神社は出雲旅の締めくくりにぴったり!

万九千神社
万九千神社
万九千神社

万九千神社

出雲では毎年、神在月(旧暦10月)に神在祭が行われますが、全国から集まった八百万の神々が最後に立ち寄り、会議をしめくくり宴を催す伝承がある神社です。創建の時期は定かでないものの、『出雲国風土記』に見える「神代社(じんだいしゃ)」がのちの万九千神社だといわれています。神々は出雲での神議り(かみはかり)をこの神社で締めくくり、直会(なおらい)を催したのち、全国へ旅立つのです。現在も、出雲の旅の締めくくりにこちらに立ち寄り、結び参り(要予約)をすれば、心身ともにすっきりとして新しい一歩が踏み出せそうです。境内には、ご祭神の大穴牟遅命(おおなむちのみこと)(大国主命)を救ったといわれるネズミの石像が多数奉納され、そのキュートな姿にもほっこりできます。

住所/出雲市斐川町併川258
電話/0853-72-9412

万九千神社
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ヤマタノオロチを退治した須佐能袁命が鎮まる

須佐神社

出雲市の南、神戸川の支流、須佐川のほとりに佇む神社。『出雲国風土記』によれば、諸国を開拓した須佐能袁命(スサノオノミコト)が、「この国は小さいがよい処なので、自分の名前は木石ではなく土地につける」と自身の御魂を鎮めたと伝わります。古くから朝廷はじめ多くの武将からの崇敬を集めてきました。本殿は方二間(約4m)、高さ七間(約12m)の大社造で、現在の建物は戦国武将、尼子晴久(あまごはるひさ)によって再建されたもの。島根県の指定文化財に選ばれていま す。また、本殿裏手には、幹回り約7m、樹高約30mという樹齢1300年と推定される大杉がそびえ、ご神木としてあがめられています。地上に現れた根が、まるでヤマタノオロチを連想させ、須佐神社にふさわしい威厳をもたらしています。

住所/出雲市佐田町須佐730
電話/0853-84-0605

須佐神社
須佐神社
須佐神社
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運命の恋を叶えた二神にあやかり縁結びのご利益をいただく

八重垣神社
八重垣神社
八重垣神社

八重垣神社

素盞嗚尊はヤマタノオロチ退治の際、“佐草の郷”に八重垣をつくり、稲田姫命(いなだひめのみこと)を隠しました。見事オロチを退治後、二神は佐草で宮を造り、幸せに暮らしたといわれています。この宮が、現在の八重垣神社です。神話を彩る運命の出会いとハッピーエンドにあやかろうと、縁結びを願う人が全国から訪れています。神社ではほかに二神の御子神(みこがみ)・大己貴命(おおあなむちのみこと)と青幡佐久佐日古命を祀ります。また、境内奥地の佐久佐女(さくさめ)の森にある鏡の池は、稲田姫命が飲料水とし、自らの姿を映した池といわれており、この池で行う「縁占い」が人気です。コインを乗せた占い用紙を浮かべて、早く沈めば縁が早く、遅く沈めば縁が遅く、近くで沈めば身近な人、遠くで沈むと遠方の人とご縁があるといわれています。

住所/松江市佐草町227
電話/0852-21-1148

八重垣神社
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松江城の鬼門を守る寺天守閣が美しく見えると人気

高野山真言宗  千手院

江戸時代初期、松江に城を築く際、本丸の鬼門(北東方向)に当たる現在の地に安来市広瀬から移築し、鬼門封じの寺として建立されたお寺です。延宝6(1648)年、城下の大火で伽藍(がらん)などは惜しくも全焼してしまいましたが、唯一残った文書から鎌倉時代より存在していたことが確認されました。本堂には平安期作といわれる千手観音菩薩、不動堂には松江最大級の不動明王座像が安置されています。また、高台にあるため、境内にある休憩所・誠心亭からは松江城の天守閣が美しく望め、フォトスポットとしても人気。春に咲き誇る枝垂桜(しだれざくら)は樹齢250年余をかぞえる松江市の天然記念物で、毎年多くの花見客を楽しませてくれます。

住所/松江市石橋町385
電話/0852-21-17912

高野山真言宗  千手院
高野山真言宗  千手院
高野山真言宗  千手院
高野山真言宗  千手院
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古代史を彩る物部氏の祖神を祀る勝負ごとなどにご利益のある神様

物部神社
物部神社
物部神社

物部神社

物部氏の祖神として知られる宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)がご祭神で、八百山が大和の天香具山(あまのかぐやま)に似ていることから降臨し、宮を築いたといわれます。その際、鶴に乗ってきたことから、鶴がご神紋となりました。継体天皇8(513)年に社殿が創建されますが、兵火でたびたび焼かれ、現在の社殿は安政3年(1856)年に再建されたもの。春日造としては全国一の規模を誇ります。戦国時代には石見(いわみ)銀山争奪戦の舞台ともなり、多くの大名が先勝祈願、武具の奉納などを行ったといわれ、今も文武両道の神、勝運の神として尊敬されています。拝殿前にある手水石には勾玉の形をした4つの石が埋め込まれ、この石に触れると勝運や財運などのご利益があるといわれています。

住所/大田市川合町川合1545
電話/0854-82-0644

物部神社
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宗派を問わず誰もが癒される緑に囲まれた天空のお寺

清水大師寺

かつて石見銀山の銀を世界へ送り出した温泉津(ゆのつ)の港や日本海を一望できる地に立つお寺。弘仁3(812)年、弘法大師が訪れ、観世音菩薩を勧請したのが起源とされています。戦国時代に堂床山が崩壊流出して建物が消失したのち再建され、以来、山陰屈指の弘法大師霊場となり、特に女性に霊験あらたかな寺院として知られてきました。山頂にあることから“天空のお寺”とも言われ、夜には漁火がともり、幻想的な風景が楽しめます。平成19(2007)年には、宗派を問わない開かれた寺院を目指し、庫裡(くり)の一部を開放し、お寺カフェなどをスタート。抹茶やコーヒーなどのドリンクや甘味のほか、予約すればランチ&精進料理もいただけます。また、坐禅や写経、写仏など、お寺ならではのさまざまな体験も可能です。

住所/大田市温泉津町小浜イ408
電話/0855-65-3000

清水大師寺
清水大師寺
清水大師寺
清水大師寺
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