全国屈指の源泉を有する“おんせん県”大分は、海山どちらの味わいも楽しめる食文化も見どころです。なかでも鶏肉の消費量は全国トップクラス。唐揚げやとり天などのご当地グルメに加え、魚の切り身をタレに漬け込んだ「りゅうきゅう」は県民おなじみのソウルフードです。今宵はそんな大分の郷土料理を取り寄せて簡単おいしいうち飲み! 生活に根付いた民陶「小鹿田焼」と組み合わせれば、お酒との相性重視の地味色メニューも独特の模様が上品に惹き立ててくれます。窯場がある日田市は江戸時代の面影を残す街並みのほか名水の地としても知られ、焼酎の蒸留所やビール工場、そして大衆居酒屋が連なるまさに酒どころ。居酒屋メニューとの相性がいいのもうなずけます。
写真/村上未知 文/旅色編集部
川のせせらぎと、響き渡る唐臼の音色。小鹿田焼は、大分県日田市に位置する集落・皿山でつくられ、開窯から300年余、生活食器として親しまれてきた焼物です。その技法は一子相伝の世襲制で伝えられてきたというから驚き。9軒の窯元すべてが個人の名前は入れずに、「小鹿田焼」ブランドとして守り続けています。昭和29、39年には、世界的にも著名な英国の陶芸家・バーナード・リーチ氏が滞在したことでも知られ、近年の民藝ブームによって九州をはじめ全国で手に入れることができるようになりました。
教えてくれたのはこの方
竹内万貴(うつわスタイリスト)
「地のものは、その土地で生まれたうつわに不思議としっくりなじみます」そう教えてくれたのは、うつわスタイリストの竹内万貴さん。雑誌やレシピ本、広告などで料理に合わせた器の提案や、スタイリングを行うほか、うつわを求めて地方の窯を訪ねることもあるほどの“うつわマニア”。
鋼片を当ててつけられる「飛び鉋」と呼ばれる帯状のリズミカルな模様が美しいうつわ。白っぽい色味が、揚げ物などずっしり存在感のある料理を上品に引き立てます。
とろんと艶のある飴色は葉ものとの相性抜群。大きめの片口がついたデザインは、汁物をよそうなどの機能面はもちろん、食卓にほどよいアクセントを加えてくれます。
菊の花びらのようなやわらかい模様は「刷毛目」と呼ばれます。汁椀としてだけでなく、小鉢や小さな丼として日常使いできるぽってりとした深さが使い勝手のいいうつわです。
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柳瀬裕之窯住所/大分県日田市源栄町155
電話/0973-29-2440 -
坂本庸一窯住所/大分県日田市源栄町140
電話/0973-29-2449 -
黒木昌伸窯住所/大分県日田市源栄町181
電話/0973-29-2403
※販売スペースはおおむね9:00~18:00くらい。不定休
※陶器は色や形、風合いが異なるほか、必ずしも同じ作品があるとは限らない点、ご注意ください
※陶器は色や形、風合いが異なるほか、必ずしも同じ作品があるとは限らない点、ご注意ください
1皿にまとめられそうな主菜と付け合わせも、高さや大きさの異なるうつわに分けるのがポイント。居酒屋気分が高まります。
高さを出すのが定番の唐揚げですが、今回はあえて平らに盛り付けて、こんもりサラダとのバランスを取りましょう。力強い飛び鉋の模様がお皿の端まで入っているので、全面に置いても負けません。お肉1つひとつが大きいので贅沢さが出ますし、うち飲みならではのリラックス感も演出できます。