かつて日本有数の炭鉱まちとして栄えた北海道中西部に位置する美唄市。今はその記憶を紡ぎながら再生を続け自然と調和する美しい空間が広がっています。ここにしかない風景と食を求めて、貫地谷しほりさんと緑豊かな美唄市を訪ねました。
撮影/村上未知 スタイリング/mick(KoaHole)
ヘアメイク/北 一騎 文/加藤和代
かつて日本有数の炭鉱まちとして栄えた北海道中西部に位置する美唄市。今はその記憶を紡ぎながら再生を続け自然と調和する美しい空間が広がっています。ここにしかない風景と食を求めて、貫地谷しほりさんと緑豊かな美唄市を訪ねました。
撮影/村上未知 スタイリング/mick(KoaHole)
ヘアメイク/北 一騎 文/加藤和代
農産物がおいしい美唄市の旅は、地元の味覚を楽しむランチからスタート。のどかな田園に佇むベーカリーカフェで、石臼挽きの地元産小麦を使った石窯パンをいただきます。一番人気は、料理4品にスライスパン3~4枚を盛り合わせた「プレート」(1,100円)。もっちり香ばしいハード系のパンで作るサンドイッチや、地元産のアスパラを餌にオーナーが育てる「アスパラひつじ」のキーマカレーもおすすめです。注文後に作るため少し待ちますが、出来立てのおいしさは格別!
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住所/美唄市西5北5-5-5
電話/0126-35-4077
時間/パンの販売10:00~18:00、ランチ10:00~LO15:00(土日は11:00~)、カフェ10:00~18:00(LO17:30、土日は11:00~)
定休日/月・火曜日(変動する場合あり)
昭和47(1972)年に閉山した、旧三菱美唄炭鉱跡地に作られた公園です。独特の存在感を放つ高さ約20メートルの巨大な2基の竪坑巻揚櫓(たてこうまきあげやぐら)は、かつて深さ約170メートルの竪坑から石炭を運び出していた施設。ほかに電源を管理していた開閉所、石炭を保管していた原炭ポケットが保存され、竪坑巻揚櫓と原炭ポケットは経済産業省が指定する近代化産業遺産に選ばれています。園内には世界的彫刻家・安田侃(やすだ かん)氏の彫刻が3点設置され、歴史に触れながら気持ちよく散策できます。
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住所/美唄市東美唄町常盤台
アルテピアッツァ美唄では、毎月2日間「こころを彫る授業」が行われています。自分の内面と向き合いながらイタリアの白大理石などをコツコツ彫り、自分の“こころ”をかたちにするという予約制のプログラムです。ツルツルになるまで磨く、粗い部分を残すなど、作品のゴールを決めるのは自分自身。1、2回で終える人もいれば、何年も通って彫り続ける人もいるそうで、授業をきっかけに遠方から訪れる人も少なくありません。
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場所/アルテピアッツァ美唄 ストゥディオアルテ
電話/0126-63-3137(事前申込制。申し込み多数の場合は抽選)
時間/毎月第1土・日曜日の10:00~16:00 ※5月のみ第2週
料金/初回参加費:白大理石15,000円、軟石10,000円(大学生以下は割引あり)
美唄のソウルフードの一つが、炭鉱で働く人々にも愛された美唄焼き鳥。一串に砂肝やハツ、キンカンなどのモツと、皮やモモ肉、玉ねぎを刺しているのが特徴。地元では「モツ串」と呼ばれ、1本で鶏のおいしさを余すことなく味わえます。シメはかけそばに、モツ串を入れた「モツそば」。鶏のだしが溶け出して、こく深い味わいです。老舗店「たつみ」は、店でさばいた丸鶏を部位ごとにボイルし、その日のうちに手刺しで串打ちしたものだけを提供しているので鮮度抜群! ブレンド焙煎塩とコショウが効いたモツ串に、ついお酒も進みます。
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やき鳥 たつみ
電話/0126-63-4589
元祖美唄やきとり 福よし
電話/0126-63-3451
味心 三船
電話/0126-63-2709
宿泊は、見晴らしの良い高台にある自然に囲まれた温泉宿へ。とろりとした肌触りの湯は美肌の湯といわれ、お肌がツルツルになると評判です。露天風呂は広い空とまち並みが一望でき、開放感たっぷり。洞窟露天風呂は日没後に青くライトアップされ、幻想的な雰囲気の中で湯浴みが楽しめます。アウトドア派には、部屋にサイクルハンガーを備え、自転車を持ち込んで泊まれる新館がおすすめ。工具類の無料貸し出しやレンタサイクルなども利用できます。
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住所/美唄市東明町3区
電話/0126-64-3800
時間/チェックイン15:00、チェックアウト10:00
料金/1泊2食付き1人13,500円~
美唄の西側に位置するラムサール条約登録湿地。面積は約25ヘクタール、中心部分の水深が約55cmの浅く小さな沼ですが、国の天然記念物マガンをはじめ、白鳥やカモ類など、多くの渡り鳥が羽を休める中継地として知られています。特に春と秋、5万羽以上のマガンが飛来する光景は圧巻! 早朝に一斉に飛び立つ「ねぐら立ち」と、夕暮れ時に編隊を組んだマガンが次々と沼へ戻る「ねぐら入り」の様子は感動的です。夏もカッコウやノビタキなどさまざまな野鳥観察が楽しめるので、早起きして出かけましょう。
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宮島沼水鳥・湿地センター
住所/美唄市西美唄町大曲3区
電話/0126-66-5066
時間/9:00~17:00
定休日/月曜日、祝日の翌日、年末年始
北海道が産地のハスカップは、甘酸っぱい味と香りが特徴で、ビタミンやカルシウム、鉄分など、女性にうれしい栄養素が豊富な果実。収穫時期が短く果皮が薄くてデリケートなため、北海道でも生で出回ることは滅多にありません。美唄市では、そんな希少な生ハスカップの収穫体験が市内6つの観光農園で楽しめます。期間は旬を迎える6月下旬から約半月ほど。ブルーベリーよりも酸味が強く、お菓子やジャムにして味わうのがおすすめです。
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住所/美唄市峰延地域 6カ所の観光農園
電話/0126-67-2115(JAみねのぶ 営農販売課)
時間/6月下旬~7月中旬 ※ハスカップがなくなり次第終了
料金/持ち帰り1kg1,400円
「美唄名物とりめしを食べるならここ」と、地元の人が太鼓判を押す店。昭和47(1972)年に創業し、3代にわたり郷土の味を繋いでいます。鶏肉と米を一緒に炊いた「とりめし」は、開拓時代に農家が作ったおもてなし料理が発祥の郷土料理で、しらかば茶屋は少し甘めのあっさりしたしょうゆ味。約7時間煮込んだ鶏ガラスープと玉ねぎの甘みが味の決め手です。鶏ガラスープで作る塩ラーメンとのセットは、一度食べればファンになること間違いなし!
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住所/美唄市茶志内日東入口
電話/0126-65-2768
時間/11:00~18:00(LO17:30)※とりめしが無くなり次第閉店
定休日/第1・3・5火曜日(祝日の場合は営業し、翌日休)
美唄の自然や産業、文化、暮らしなどを多彩な歴史資料で紹介する施設です。最初に目に入るのは、見上げるほど高い泥炭(でいたん)層の断面。かつて石狩川が氾濫を繰り返し、泥状の炭が2,400年以上かけて積み重なったことを物語るもの。水はけの悪い土地を土で埋め、現在の田園地帯になったというから驚きです。特に興味深いのは炭鉱をテーマにした展示で、模擬坑道を歩けば当時の採掘の様子をリアルに感じられます。3.5トンもある巨大な石炭柱も必見です。
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住所/美唄市西2南1-2-1
電話/0126-62-1110
時間/9:00~17:00(最終入館16:30)
定休日/月・火曜日、年末年始
料金/一般300円、小・中学生70円
美唄の食の魅力を発信することをテーマに、2022年にオープンしたカフェ。店主を務める地域おこし協力隊の林さんは、高校生レストランで知られる隣町の三笠高校出身。農家や企業を訪ね、開業まで1年かけて地元特産品を生かしたスイーツを開発しました。なかでも米粉と大豆を使ったカヌレが人気で、外はカリッと、なかはみずみずしい食感がクセになります。米粉を使ったプリンや、市内小学校の生徒たちとコラボした四つ葉のハスカップスフレパンケーキも評判。自家焙煎コーヒーとともに味わいましょう。
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住所/美唄市東1南2-3-3 HOTEL BIJIKO1階
電話/070-9019-5654
時間/13:00~18:00、土・日曜日10:00~18:00
定休日/水・木曜日
お土産を探しに、美唄のおいしいものが満載のアンテナショップへ。農家さん別のお米や朝採り野菜のほか、美唄焼き鳥、とりめしといったご当地グルメに銘菓まで揃います。野菜好きなら、地元の人も買い求める期間限定のアスパラを。午後には売り切れてしまうこともあるので、要注意。そのほか、農家の女性グループ「つむぎ屋」が作るこだわりの乾燥野菜がイチ押し。美唄産ハスカップをたっぷり使ったハスカップ炭酸水(200円)も密かな人気です。
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住所/美唄市進徳町1区
電話/0126-62-4343
時間/4~10月10:00~18:00、11~3月10:00~17:00
定休日/月曜日(祝日の場合は営業し、翌日休)
「アンテナショップPiPa」の前を通る道が、まっすぐな道路が多い北海道の中でも、日本一長い直線道路。美唄市光珠内町~滝川市新町の間で29.2キロもあります。この道路は、札幌市から旭川市までを南北に結ぶ国道12号の一部区間で、開削が始まったのは明治19(1886)年のこと。平成2(1990)年、滝川バイパスの開通によって直線距離が伸び、当時日本一長い直線の鉄路を抜いて、日本一の直線道路に認定されました。買い物や景色を楽しみながら、安全運転でドライブを楽しんで。