香りが広がる心地良い空間で味わう 生活を豊かにする癒やしのひととき
2018年にオープンした「香源 上野桜木店」。1階には全国のお香メーカーから仕入れている5,000種類以上ものお香や線香などが並び、訪れる人を香りの世界へといざなう。2階のワークショップスペースでは「手作りお香体験」や「香木焚き比べ体験」といった講座も行っており、日本のお香文化に直に触れる体験をすることも可能だ。知れば知るほどに奥深いお香。香りの歴史や文化をひも解くことで、さらに興味が湧いてくる。そもそも、日本の香りの歴史は1400年以上も前から続いていることをご存知だろうか。「お香って、実はお茶よりも歴史が古いんですよ。日本書紀に残っている記録が最も古いといわれています。元々は仏教とともに日本へもたらされ、そこから徐々に貴族や皇族、武士たちの間で発展していった経緯があります。ちなみに江戸時代末期にできたのが線香で、手軽に使えることから一般層にも定着し、現代においても身近なお香として使われているんですね」(店長・度会健人さん)。元来、お香は薬として用いられ、いわば漢方の吸引薬のようなものであり、香りを嗅ぐことで体調を整えたり、気分を落ち着かせたりする作用があるとされてきた。お香のベースとなるのは香木で、伽羅・沈香・白檀の3種類。いずれも上品な印象の香りで、それらを引き立てるのが八角やクローブ、龍脳といった漢方やスパイスの原料。香木と漢方香料との調合により、あらゆる種類の香りが誕生する。香木は、常温で香るアロマや香水と異なり、熱を加えることで香りが立つ。店内の多くのお香も焚いた時では香り方が変化するため、店内商品の多くが「試し焚き」可能。気になる香りを見つけたら、コンシェルジュに気軽に声をかけてぜひ試してほしい。