日本の味の原点・紀州湯浅の旅
「月刊旅色」で中村ゆりさんが訪問した和歌山県湯浅町を、旅色のファンコミュニティ「旅色LIKES」のメンバーであるなおさんがレポート! 旅の様子をご紹介します。
目次
◆この記事を書いたメンバー
なおさん
大学生のころから鉄道旅行が好きで全国をくまなく旅行しています。旅先では温泉に入ることも好きで、プランの中に毎回温泉を組み込んでいます。また、京都は毎年ほぼ季節ごとに行っており、寺社を訪れて四季折々の景観の変化を楽しんでいます。
大阪から特急くろしおで湯浅町へ
大阪・天王寺駅から特急くろしおに乗って約1時間半。和歌山県湯浅町にやって来ました。先日の「旅色」で中村ゆりさんが紹介されていたところですね! たまたま近くを旅行する機会があり、とても魅力的な町並みだと感じたので、立ち寄ることにしました。
湯浅町は、みかんで有名な有田市の南に位置する静かな港町です。
図書館とカフェが併設された「湯浅えき蔵」
湯浅駅は最近、蔵をイメージした建物に一新されました。隣には「湯浅えき蔵」という地域交流館があります。
2階は地元の方が利用できる図書館になっていて、カフェも併設されています。学校や仕事帰りに立ち寄ったら帰りたくなくなりそうな立派な図書館。羨ましい限りです。
約130年にわたり営業していた「甚風呂」
海に向かって15分ほど歩くと、「甚風呂(じんぶろ)」という施設にやってきました。周辺には何とも歴史を感じさせる町屋が軒を連ねています。湯浅町はかつて、熊野古道の宿場町として栄えていましたが、ここは醤油醸造発祥の地でもあります。そのために、町屋や蔵などが多く建つようになったのです。この地域は2006年に国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。
さて、甚風呂というからには風呂。ここにも日帰り温泉があったので、ひとっ風呂浴びようと思ったのですが残念。実はこの建物、ここはかつて銭湯だった施設を古民具を展示する資料館として改装したものです。江戸時代の嘉永年間から昭和60年まで、約130年にわたり営業を続けていました。
中はこんな感じ。古き良き銭湯って感じがしますね。全国にはこのぐらいの施設でまだ現役の銭湯もありそうです。ブリキの洗面器がいい味出していますね。
醤油醸造に使われた道具を展示している「角長醤油資料館・職人蔵」
さて、町屋と蔵の並ぶ街並みを散策していると、「角長醤油資料館・職人蔵」という施設が。ここは江戸末期に建てられた仕込蔵で、今は醤油醸造に使われた道具の展示館となっています。先述した通り、湯浅は醤油発祥の地と言われています。鎌倉時代に伝来した金山寺味噌の製造過程で、桶底に溜まった汁に改良を加えたものが最初とされているそうです。
湯浅町は味噌も名物「金山寺味噌」
そういった経緯もあって、「金山寺味噌」もこの地の名物。味噌も醬油も特産品である湯浅町。日本の味の原点といっても過言ではありません。
湯浅町で唯一醤油を作り続けている「角長」
最盛期には92件の醸造所があったといいますが、現在は先述の職人蔵を持つ「角長」さんだけがこの地で醤油を作り続けています。職人蔵の向かいには、これまた趣のある角長醤油の販売店がありました。その隣の赤茶の建物で、この日も醤油を作り続けていました。
来るときもたくさんのみかん畑を見ましたが、今が最盛期のみかん。いたるところでみかんの無人販売を見ました。私も一袋買いました。これで100円は安いです!
1日1組限定の旅館「千山庵」
私は日帰りでしたので泊まりませんでしたが、重要伝統的建造物群保存地区にある「千山庵」は、築約150年の古民家を改装した1日1組だけが宿泊できる旅館。6名まで宿泊可能だそうです。
湯浅町の魅力的なお土産を購入できる「湯浅美味いもん蔵」
さて、旅の終わりにお土産を、と思い立ち寄った「湯浅美味いもん蔵」。有田みかんを使ったジュースや湯浅醤油など、魅力的なお土産が並んでいたのですが、私が選んだのは……
やはりお酒でした笑
醤油や金山寺味噌、みかんもすべて魅力的。でも、梅も忘れちゃだめですよね。このワイン、まだ飲んでいません。楽しみにとっています。これはワインですが、梅酒っぽい味がするのか……? またレポートしたいと思います。
紀州の小さな港町、湯浅。小さいながらも日本の食卓の礎を築いた歴史ある町であることを歩くことによって、しかと感じ取ることができました。