わたしも街道を楽しんだ「松阪・ふらり旅」

三重県

2022.08.10

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わたしも街道を楽しんだ「松阪・ふらり旅」

三重県在住の旅色LIKESライターなおさん。今までどこかへ行くときの通過点でしかなかった“松阪”の魅力を「月刊旅色」7月号を参考に歩いたことで再発見できたようです。

目次

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高い石垣の上から松阪の町を一望できる「松坂城跡」

松坂城を護る人々が住んでいた「御城番屋敷(ごじょうばんやしき)」

豪商の町・松阪を散策

町を離れ和歌山街道をウォーキング

いざ、深野の棚田の絶景へ

「月刊旅色」7月号でわたしの住む三重県の、松阪市が取り上げられました。

「月刊旅色」7月号 つなぐ、つながる街道を楽しむ松阪、ふらり旅

松阪といえば松阪牛。誰もが知っているであろう有名な特産品です。しかし観光地としては知られておらず、正直わたしも伊勢志摩方面や最近できた観光施設「VISON」に行く通過点という印象でしかありませんでした。「月刊旅色」では、我が家から50kmも離れていない場所を川島海荷さんが紹介していて、知らない魅力がたくさんあることを知り、訪ねてみることにしました。彼女が歩いたところやわたしが歩いて発見した松阪の魅力をご紹介したいと思います。

ちなみにこの町、「まつざか」ではなく「まつさか」。そして、地元では「まっさか」と呼ばれます。

高い石垣の上から松阪の町を一望できる「松坂城跡」

まず訪れたのは松坂城跡。残念ながら城は残っていませんが「月刊旅色」の表紙で紹介された高い石垣が印象的でした。実際行くと想像以上に高く聳え立っています。現代の建築家も唸るほどの美しい石垣です。

城跡は天守閣跡まで解放されていて自由に登ることができます。天守閣跡の石垣に登って松阪の市街地を見下ろします。

石垣は近づいて見下ろすことができます。写真に夢中になっていると落ちることもあるので要注意です。お子さんと行く際は手を繋いで近づきすぎないように気を付けないといけないでしょう。

松坂城を護る人々が住んでいた「御城番屋敷(ごじょうばんやしき)」

松坂城の裏手には、かつて城の番をした武士が居を構えていた御城番屋敷があります。幕末に造られたものであり松坂御城番として仕えていた武士20人とその家族が住んでいました。今もその子孫が居住されていて、切りそろえられた生け垣や石畳を整備、電柱を埋設するなど美しい街並みを維持しています。

御城番屋敷の1戸は無料で公開されていて当時の生活を偲ぶことができます。

2021年公開の映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のロケで使われました。有村架純さんも来ていたんですね。

御城番屋敷を抜けたところにある赤壁の建物。三重県で一番古い工業高校「三重県立松阪工業高等学校」の資料室は明治期に建てられた製図室です。化学系の学校だったため硫化水素で変色しないように朱で塗られましたが、これが景観と見事にマッチ。現役は校舎としての役割を引退し、経済産業省の近代化産業遺産に認定され資料館として大切に使われています。平日のみ見学可能です。

豪商の町・松阪を散策

松阪は大阪、近江と並ぶ日本三大商人といわれる伊勢商人の本拠地。多くの豪商が生まれ、富を成しました。こちらは旧長谷川治郎兵衛家。「丹波屋」として名をあげて松阪木綿を全国に知らしめた豪商です。

実はわたしの愛用している鍋敷きは、少し前に伊勢で買った松阪木綿柄。松坂嶋と呼ばれる縞模様が特徴の藍染めされた“伊勢木綿”はかつて江戸で大流行したそうですよ。

こちらは小津清左衛門家(おづせいざえもんけ)。“小津和紙”という紙業で財を成し、今も小津産業株式会社として存続しています。松阪にはこのほかにも今の三越のルーツである三井家(越後屋反物店)の発祥の地。その他イオングループや東洋紡(とうようぼう)も伊勢商人が発祥といわれ、それだけでも伊勢商人の偉大さが分かります。

松阪牛で有名な牛銀本店も豪商の旧家のある魚町界隈にあります。本日予約で満席でした。残念ですが、空席だったとしても財布と相談だったな……。

町を離れ和歌山街道をウォーキング

松阪の中心部を離れて30分ほど内陸の方へドライブし飯高地区に来ました。今でこそのどかな農村であるこの地区ですが、かつては伊勢と大阪を結んでいた和歌山街道が通る宿場町でした。

道の駅飯高駅を拠点に和歌山街道をウォーキングすることができます。

このコースの目玉は珍布峠(めずらしとうげ)。天照大神(あまてらすおおみかみ)と天児屋根命(あめのこやね)がバッタリ会ったときに「おお、めずらしや」と言ったことからついた名前だそうです。素掘りで岩を砕いて作った切りとおしで両側に迫る岩肌がなんとも“めずらしい”景観をつくっています。

こちらは礫岩(つぶていわ)。伊勢と大和の国境を確かめるために天照大神が投じた岩だとか。

この辺りは香肌峡(かはだきょう)と呼ばれる渓谷です。うぐいすの声を聴きながら渓谷美を眺めてウォーキングすることができます。

この辺りは伊勢茶の産地でもあります。山間に点々とある民家ではお茶栽培をしており茶畑が広がります。

1時間半ほどウォーキングして「道の駅 飯高駅」へ戻りました。この日はいい天気で汗びっしょり……。道の駅は「香肌峡温泉 いいたかの湯」も併設。露天風呂あり、サウナありの温浴施設は、ウォーキングで汗だくになった体を癒してくれます。

いざ、深野の棚田の絶景へ

この地域にはもうひとつ「道の駅 茶倉駅」があります。道の駅 飯高駅に比べると小ぢんまりしていますが、展望所があって長閑な飯南地区の風景を見下ろすことができます。

渓谷にかかる茶倉橋や一面の茶畑。こんな景色を眺めるだけで日常生活でたまるストレスを忘れられます。この地域には棚田百選に選ばれた「深野のだんだん田」があります。先日小豆島で棚田の美しさに魅了されたわたしは、これは行かなければと車で狭い道を登ります。

深野の棚田は城塞のように組まれた石垣の景観美が特徴。さっきのお城と一緒ですね。石垣に固められた棚の上に田がつくられ稲穂が風にそよぎます。

これぞ夏!っていう景色で、よき。

松阪は牛はもちろん松阪鶏や松阪豚もある「肉の町」です。食事も行きたいところでしたがこの日は想定以上に暑く、水ばかり飲んでお腹がすきませんでした……。心残りです。

食以外に歴史も自然も楽しめる松阪の旅。みなさんも伊勢に行かれる機会があればふらっと松阪。散歩してみてはいかがでしょうか。

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#絶景 #歴史 #自然 #三重 ##月刊旅色 #旅色LIKES #松阪

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なお

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