愛知県のほぼ中央に位置し、“クルマのまち”として知られる豊田市。
世界をリードするものづくり都市でありながら
市域の約7割を森林が占め、車をちょっと走らせれば
緑豊かな山里が「ようこそ」と出迎えてくれます。
建物ごとアートのような美術館や博物館は都会の表情。
歴史的スポットは懐かしさを感じさせるふるさとの顔。
“最先端”と“懐かしさ”とがバランスよく融合した豊田市で
志田未来さんがハイブリッドな旅を楽しみました。
撮影/村上未知 スタイリング/千本松良枝
ヘアメイク/亀田雅 文/小幡奈々
車 約40分
豊田市博物館は2024年4月にオープンした、愛知県下でも話題のスポット。世界的な建築家・坂 茂氏が手がけた建物も見どころのひとつで、豊田市産の木材を使った木造建築です。建物の中は天井が高く、開放感たっぷり。館内には豊田の歴史や文化、自然、産業などをテーマに展示しています。最初に目に飛び込んでくるのは、高さ7.8mの展示棚「とよたモノ語り」。民具や動物のはく製などが並びます。ほかにも、まちの巨大ジオラマがあったり、昔の道具に触れたり、音や匂いを感じたりできる展示で、世代を問わず楽しめます。
豊田市博物館
住所/豊田市小坂本町5-80
電話/0565-85-0900
時間/10:00~17:30(入場は17:00まで)
休館日/月曜日(祝日除く)ほか展示替え期間、年末年始
常設展入館料/一般300円(団体250円)、高・大学生200円(団体150円)
※団体は20名以上、中学生以下無料
※豊田市内在住の方、障がい者手帳をお持ちの方とその介添者(1名)は無料(要証明)
徒歩 約6分
ゆるやかな傾斜を上っていくと、空を背景に浮かび上がる直方体の建物。豊田市美術館は入館までのアプローチから楽しませてくれます。近代~現代の西洋美術および明治以降の日本の彫刻や絵画を3,800点余り収蔵し、それらはコレクション展のスペースでお目にかかれます。普段はあまり美術館に行かないという志田さんですが、多彩な展示に興味津々でした。2階のレストラン「ル・ミュゼ(味遊是)」では、食事とともに、彫刻テラスや庭園、市街地の眺めを楽しむこともできます。
豊田市美術館
住所/豊田市小坂本町8-5-1
電話/0565-34-6610
時間/10:00~17:30(入場は17:00まで)
休館日/月曜日(祝日除く)、設備・保守点検・展示替え等の期間、年末年始
観覧料/常設展(髙橋節郎館含む)一般300円(団体250円)、高・大学生200円(団体150円)
※団体は20名以上、中学生以下無料
※企画展、常設特別展の観覧料はHP展覧会ページを確認
※その他減税や割引等についてはHPをご確認ください
※髙橋節郎館は2025年1月17日まで改修工事のため休館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/
車 約50分
オーナーの清水潤子さんは、足助地区で米作りを体験した際、農家の方が獣害に困っていると聞いて、猟師免許を取得してご主人と足助に移住しました。「有害といえど命の恵。最後までおいしく食べてあげたい」と、2017年に築150年の古民家を改築したジビエカフェをオープン。年間100頭以上の鳥獣を狩猟し、解体から精肉まで全ての工程に携わっています。その鮮度と味わいに定評があり、県内外のレストランにも出荷するほど。この日のランチはイノシシのメンチカツ、シカのジンギスカン、ハクビシンのグラタン。ワンプレートに盛られた滋味あふれる料理を目当てに、県内外から客が訪れます。
山里カフェMui
住所/豊田市北小田町伯母平26
電話/090-5037-5199
時間/11:00~16:00(ランチは完全予約制)
定休日/不定休
車 約16分
かつての豪農屋敷を再現した三州足助屋敷は、さながら“生きた民俗資料館”。かやぶき屋根の民家が並び、牛が飼われていたり、放し飼いの鶏が歩き回ったりと、山里文化が息づいています。炭焼きや機織り、竹細工など10種類の昔ながらの手仕事が実演され、体験も可能。職人さんたちはみな気さくなので、ぜひ話しかけてみましょう。志田さんは鍛冶屋でペーパーナイフ作りにチャレンジ。熱した五寸釘をハンマーで叩く作業は「楽しいけど難しい!狙いが定まらない~」と苦戦気味。仕上がりを待つ間は機織り小屋も見学し、昭和初期の暮らしに思いを馳せていました。集落が赤く彩られる紅葉の時期もいいけれど、青もみじも格別です。
三州足助屋敷
住所/豊田市足助町飯盛36
電話/0565-62-1188
時間/9:00~17:00(入館券発売は16:30まで)
休館日/木曜日(祝日の場合は翌日休館、大型連休と紅葉シーズンは無休)、年末年始
入館料/大人300円、小人100円(小学生~高校生)
※団体(20名以上)は1割引、障がい者割引あり
※「五寸釘でペーパーナイフ」の実習は2,500円(40分/革ケース付)。一度に5名まで可能
車 約3分
五平餅は足助地区でも古くから伝わるソウルフード。びっくりやは創業50年、2代目が足助の県道沿いに店を構えて28年という老舗です。自慢の五平餅はすべて手作り。仕込みは毎日深夜3時から。国産のうるち米を炊き、蒸して寝かせて練った団子を竹串でわらじ型に形どって、1本ずつ準備しているそう。注文が入ってから焼いてくれるので、粒が際立ったもちもちの食感が味わえます。味は味噌としょうゆ、きな粉の3種類。五平餅初体験という志田さんは「こんなにおいしいなんて!」と、パクパクとしょうゆ味を完食。年中、店頭に並ぶおでんも要チェック。
びっくりや
住所/豊田市足助町成瀬31-1
電話/0565-62-1397
時間/9:00~17:00
定休日/水曜日
五平餅は愛知県奥三河地域を中心に、岐阜県、長野県など、中部地方の山間部から発祥した郷土料理といわれています。うるち米で作った餅を焼き、味噌やしょうゆで味つけた素朴さが特徴です。その形状は足助・旭・稲武(いなぶ)エリアはわらじ型、豊田・足助エリアは御幣型、小原エリアはひょうたん型など、市内でもさまざまです。個性的なものでは下山エリアの木の葉型や全長22cmの大わらじ型があるほか、豊田市ならではのクルマ型のものもあるようです。
車 約30分
名古屋の奥座敷とも呼ばれ、愛知高原国定公園内の霊峰・猿投山の麓にある猿投温泉。自然豊かな山奥の一軒の温泉宿である「癒しの宿 金泉閣」は、地下1,200mからとうとうと湧き出る効能豊かな“天然ラドン泉”が楽しめます。日本での湧出量が少なく、しかも飲泉許可を得た自慢の“飲める天然ラドン泉”。料理にも温泉水を使用することで、浸かるだけでなく体の中からも温泉を堪能できます。春の桜から始まり、新緑、紅葉、時には雪景色と、四季折々の風景が上質感のある客室からも楽しめます。観光ついでに温泉に立ち寄りたい人には、別館の「日帰り温泉 岩風呂 金泉の湯」もおすすめ。
しあわせ隠れ里 猿投温泉 癒しの宿 金泉閣
住所/豊田市加納町馬道通21
電話/0565-45-8522
料金/1泊2食付き26,400円~(2名1室利用時の1名料金)