写真家 浅田政志が切り取る あたらしい大阪、なつかしい大阪

梅田の再開発や交通網の整備などきっかけに劇的に変わりゆくまち。
高校卒業後、大阪にある写真の専門学校に通い、
写真家としての一歩をこのまちで踏み出した浅田さんに
大阪の思い出をたどりつつ、今あたらしく出会う大阪を捉えてもらいました。

写真家 浅田政志
高校卒業後、大阪にある写真の専門学校に通うことに。当時、学校の寮があった大阪市此花区の西九条に3年間暮らす。必ず買う大阪土産は、ハッピーターンたこ焼きソース味(亀田製菓)と、ラ・ラ・ラ ピーカン(サロンドロワイヤル)。
ラーメン金龍は立体看板の元祖だそう
大阪らしさ、も新陳代謝
メロンパンと牛の看板。大阪以外では、この並び見たことありません

大阪といえば「立体看板」。専門の会社があるくらい、大阪には立体看板の文化が根付いています。大阪に住んでいた学生時代はあんまり意識しなかったけれど、いろんなまちを見てから改めてこのまちを見てみると、立体看板がせり出すまち並みが大阪らしいなと感じます。昔からよく見るものもあれば、新しいお店の立体看板もあっておもしろいです。

ここにしかないカルチャーは 20年経っても変わらない

大阪には、梅田があるキタと、アメ村とかがあるミナミがあって、それぞれを好きな人で分かれると思います。僕はミナミ派。キタは洗練されておしゃれな感じ。どんどん変わっていきますが、ミナミの昔ながらの雰囲気が好き。学生時代に通っていたお店はもうないけれど、それでもまちの雰囲気は変わっていません。

おもしろくて刺激的 初めての仕事は大阪でした

三重出身の僕にとって、大阪は憧れのまちでした。古着やタトゥーの文化があり、バンドもたくさんいて、いろんなカルチャーが格好よかった。実際住んでみてもそのままで、格好いい人が多かったし、刺激的でした。思い出の場所はアメ村。奥さんと知り合ったのもアメ村でしたし、学校の友達以外にアメ村で知り合った友達ができたりしました。それがバンドメンバーばっかりで、初めての仕事はバンドライブの撮影。ほとんどお金はもらえなかったけれど、自分でやったことが仕事になるという喜びを知ったのも大阪でした。

変わらないものと
変わるべきもの
とんかつカレーB(上ロース)1,500円

思い出の味は、「元祖とんかつカレーカツヤ」のカレー。学生時代、先輩に初めて連れてきてもらって、第一印象は失礼ながら、ボロい(笑)。しかも、先輩からカツヤのカレーは数年かかけてルーをつくっていると聞いて、「ほんまかいな」と。半信半疑で食べたら本当にそういう味がするんです。野菜が溶け込んだコクがあって、クセになる味。食べた一週間後にまた食べたくなる。そういう経験は初めてでした。今でも時間を見つけては通っています。当時と変わらない佇まいだから青春時代に戻れるような気がするんです。

「カツヤ」の建物は老朽化のため5月、同じ町内移転。ちなみに、一緒に働いていたのはお孫さん。馴染みの味が伝承されていくって、素晴らしいです

きれいなまちでも、大阪は一本路地を入ったり駅から少し離れたりすると、昔ながらの雰囲気や味のあるところが残っています。おもしろいおじちゃん、おばちゃんがいて、人の距離が近い。それが大阪のよさだと思うんです。駅を中心に発展している東京に対して、大阪はまち自体や人がおもしろくて、地元の人に愛されるお店に行きたくなります。どんなに発展しても、まちの面白さは変わらないでほしいですね。

元祖とんかつカレー カツヤ
住所/大阪府大阪市浪速区元町2-12-34
電話/06-6631-8988
営業時間/10:30~19:00
定休日/日曜日