特集 手しごとに触れる“クラフト旅”へ

“クラフト旅”の原点へ 松本[長野県]

江戸時代から工芸が盛んだった、城下町・松本。
戦後に起こった柳宗悦による民藝運動の影響も色濃く残り、
まさにクラフト旅の原点に触れられる街といえるでしょう。
民芸館で出合うのは、名もなき職人がつくった歴史ある暮らしの道具。
手しごとの家具に寛ぎながら食事を満喫したら、
蔵造りの建物が連なる商店街でクラフトショッピングを――。
「手しごとっていいな」そんな感動でいっぱいになる旅が、待っています。

文/緒方麻希子

松本[長野県]

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スケジュール

松本民芸館で民芸コレクションの美しい世界に浸る

松本民芸館
松本民芸館
長屋門をくぐり、けやき林の気持ちのいい中庭を抜けると入口へ

民藝運動に感銘を受けた民芸研究家・丸山太郎が1962年に創設した博物館。自らも螺鈿(らでん)・卵殻(らんかく)の民芸品を制作していた丸山が国内外を渡って蒐集した民芸品約6,800点が収蔵されています。展示は李朝箪笥や帖箪笥(産地 松本)、水がめのほか、陶磁器、木漆器、ガラス器など、手しごとによる日用品の凛とした美しさを堪能できます。2つの建物から成り、1つは天保4(1833)年につくられた土蔵を移築したものというのも見どころ。お土産コーナーも立ち寄りたいところです。

住所/松本市里山辺1313-1
電話/0263-33-1569
時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(休日の場合は開館し、翌平日が休館)、年末年始(12月29日から1月3日)
料金/大人(高校生以上)310円、小人(中学生以下)無料

松本民芸館
地元の松本民芸家具と、18世紀イギリスの家具を同じ空間に展示
松本ホテル花月 喫茶室八十六温館

松本ホテル花月 喫茶室八十六温館で手しごとのぬくもりとともに絶品ランチ

1887年創業の老舗ホテル内にある「八十六温館(やとろおんかん)」。松本民芸家具の創始者・池田三四郎が監修した当時のままの配置という店内は、重厚感のある松本民芸家具のテーブルやイス、金工職人・飯野歌之助が制作したステンドグラスのランプシェードといった手しごとのぬくもりに包まれた空間が広がります。ノスタルジックな雰囲気の中、丁寧に淹れられたコーヒーや手作りスイーツ、食事を味わう至福の時間をどうぞ。

住所/松本市大手4-8-9
電話/0263-32-0114
時間/8:00~17:00、土日祝は7:00~17:00(モーニング10:00LO、ランチ11:00~14:00LO、ティータイム14:00~16:30LO)

松本ホテル花月 喫茶室八十六温館
ランチは「ハッシュ・ド・ビーフ」(1,000円)などの定番のほか、季節限定メニューも用意
松本ホテル花月 喫茶室八十六温館
店名の由来にもなった「86度」のお湯で丁寧にネルドリップするコーヒー。「花月ブレンドコーヒー」(750円)など、好みのコーヒー豆を選べる
松本ホテル花月 喫茶室八十六温館
中町通り

中町通りの工芸品・民芸品のお店で暮らしに取り入れるクラフト探し

松本駅から徒歩約10分の場所にある中町通りには、民芸品店や工芸品店、作家ものの木工や陶芸などが集まるショップ、ギャラリーが数多く並びます。クラフトの街の醍醐味を感じられる商店街なので、千差万別の手しごとの品々に触れるにも、お土産を選ぶにもぴったり。通りには江戸から大正時代の蔵造りの建物が多数現存するので、城下町ならではの街並みを見ながら歩くだけでもタイムスリップしたかのように楽しい気分になります。

住所/松本市中央3-2-14(中町商店街振興組合)
電話/0263-36-1421(9:00~17:30/中町商店街振興組合)

立ち寄るならここがおすすめ

松本民芸家具 中央民芸ショールーム

松本民芸家具 中央民芸ショールーム

松本民芸家具の始まりは、1948年に創始者の池田三四郎が民藝運動の父・柳宗悦との出会いから、戦後の暮らしに必要とされるであろう洋家具をつくったことから。家具は、ミズメザクラを主とした無垢材を原料に、職人が設計から組み立て、塗装(拭漆・ラッカー塗装)までを熟練の技で完成させていきます。ショールームには、松本民芸家具が400点ほど並び、その美しさや味わい深さを間近に感じることができます。

住所/松本市中央3-2-12
電話/0263-33-5760
時間/9:30~18:00
定休日/無休 ※年末年始のみ休業(12月30日~1月4日)

松本民芸家具 中央民芸ショールーム
松本民芸家具 中央民芸ショールーム
ひじ掛けや背もたれに、蒸気で蒸して曲げた木のパーツを用いている「44A型ウインザーチェア」(198,000円)
松本民芸家具 中央民芸ショールーム
和室にも洋室にも合う「J型ロッキングチェア」(242,000円)は、ロングセラーのひとつ

ちきりや工芸店

ちきりや工芸店

松本民芸館の創設者でもある丸山太郎が1947年にオープンした、民芸品の名店。小鹿田(おんた)焼や砥部(とべ)焼、益子焼などの陶器や、沖縄のガラス器、草木染め、かごなど、色も形も素材もさまざまな全国各地の民芸品が充実しています。品揃えはもちろん、店内に丸山太郎がデザインした棚などもそのまま使われているというのも訪れたくなる魅力。空気感そのものからも、暮らしを彩る手しごとの奥深さを感じられます。

住所/松本市中央3-4-18
電話/0263-33-2522
時間/10:00~17:30
定休日/火曜日、水曜日

松本[長野県]へのアクセス
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