旅好きが考える行程はひと味違う あの人の旅プラン

俳優 眞島秀和さん 行き当たりばっ旅もいい!

手作りプラン掲載数No.1の「旅色の旅行プラン」とのコラボ連載。
旅好きな著名人に、実際に使える旅の行程を教えてもらいます。
第8回は俳優の眞島秀和さん。
俳優として駆け出しの時に行った、行き当たりばったりの1週間旅や
映画『スウィングガールズ』への出演秘話などもお聞きしました。

今回のプランナーは...

俳優 眞島秀和さん

  • 前編 「旅について語る」
  • 後編 「プランをつくる」
俳優 眞島秀和さん あの不便な旅、楽しかったなぁ〜
俳優 眞島秀和さん
小野川温泉街
20代の頃、1週間ほど滞在した小野川温泉街。故郷にも近く、眞島さんにとってはゆかりの地。

眞島さんは最近、どのような旅に出られていますか?

最近は時勢柄もあって、旅行に行く機会はすごく少なくなってしまいましたね。ただ山形県米沢市の実家にはたびたび帰っているのと、仕事の撮影でいろいろなところを訪れるので、それが旅行代わりになっているような感じです。旅に出たいなという思いは常にあるんですよ。ちょっと手が空いた時に、旅について調べることはよくあります。犬を飼っているので一緒に行けるところはないかと普段から調べていて、先日も静岡県の修善寺に一泊で行ってきました。ドライブが好きな犬なので、これからもいろんなところに行ってみたいなと思っていますね。

ワンちゃんも一緒の家族旅行、いいですね! ほかにも旅行について調べることはありますか?

ロケで1回行って気になったところとか、撮影でお世話になった地元の方がいる場所へもう1度行きたいと思って調べることが多いです。特に、北海道にはそういう場所がたくさんあります。『そらのレストラン』という映画のロケで北海道を周ったのですが、美瑛、旭川、網走、せたな町など、魅力的な場所がいっぱいあって。いつか時間がとれたら、ゆっくり周ってみたいです。

役者としての先が見えないなか、
松島の絶景に癒されて

これまで行った旅行の中で、特に思い出深いところはありますか?

大学を中退したばかりの23歳の時に行った、友人との行き当たりばったりの旅行です。この頃の僕は俳優の養成所に通いながら、仲間と自主制作映画を作ったり、バイトをしたりしている時期だったのですが、ぽつりぽつりと予定が入っているくらいで、暇を持て余していて。当時、調布市の仙川に住んでいて、同じ養成所に通っている友達を府中まで車で送っている時に、ふと「国道20号の終わりまで行ってみよう」ということになったんです。車を走らせていると19号、18号と道が移っていき、山梨、長野、新潟と県をまたいで、最終的には学生寮で一緒だった後輩が家族経営している山形県の小野川温泉にある旅館に到着しました。そこで1週間くらいお世話になり、東北の各地を周ったり、のんびり過ごしたんです。

俳優 眞島秀和さん

若さこその旅という感じですね(笑)! 特に印象的だった場所はありますか?

宮城県の松島です。「杉原功商店」という海鮮の直売所に入ったら、確かサービスでアサリ汁が出てきて。具はアサリだけのシンプルな汁だったのですが、出汁が体に染み渡るようで本当においしかったなぁ。あとは大高森展望台から見渡した、松島の景色は今でもくっきりと思い出せます。当時は俳優を目指していたとはいえ、先が見えない時期だったんです。ある意味、現実逃避のような旅ではあったのですが、だからこそあの絶景に癒されました。

この時は着の身着のままで出た旅で、その不便さも記憶に刻まれている理由かもしれません。当時乗っていた車はカーナビもついていなかったので、道が分からなくなれば、コンビニに行って地図を立ち読みしたり(笑)、音楽のサブスクサービスもありませんから、たまたま車に入っていた「19(ジューク)」というユニットのアルバムをリピートして聞いていましたね。何回も同じ曲を聞いているから覚えて、どちらのパートを歌うか決めてハモったりして。若さゆえでしょうけど、本当に楽しい旅でした。もう二度とできないと思うけど(笑)。

仕事で訪れた故郷が、
新たな発見をくれた

ご実家にはよく帰られているということですが、故郷の山形県米沢市は眞島さんにとってどんな場所でしょうか?

東京にいると、仕事で知り合う人が多いのもあって、どうしてもそれぞれの役割を担ってしまいがちだと思うんです。もちろんすべての関係がそうではないですけどね。でも故郷にいると子どもの頃のまま、素の自分でいられるのが心地いいと思っています。今でも帰省すれば、たいてい友達と過ごしますよ。

4月には米沢のフォトブック『Home』を出版されましたが、故郷である米沢の新たな発見はありましたか?

ありましたね。地元と言っても、僕が知っている米沢はものすごく狭い範囲だったんだなと改めて思い知らされました。僕の知らないところ、変わったところ、新たに生まれたところがたくさんあるんだな、と。地元に帰る楽しみが、ますます増えました。あとはやはり一緒に同行したスタッフから米沢の感想をもらったりすると、新たな視点をもらえるというか、魅力がより分かる気がしますね。

そういうことはあるかもしれませんね!

20代の頃に『スイング・ガールズ』という映画に出演したことがあるのですが、このロケ地が山形だったんです。その時も同じような体験をしましたね。監督の矢口史靖さんとは元々知り合いで、「ロケ地が山形に決まったから出演者に山形弁の指導をお願いしたい」と言われ、実は最初は方言指導で携わっていました。そのうち僕でもできそうな役があるということで、あとから俳優としても参加させてもらうことになって。その時もスタッフの方から客観的な視点をもらうことになって、改めて故郷の魅力に気が付きました。山形は東京からも2時間とまぁまぁ近いし、米沢牛や松茸などおいしいものも多いし、素直にいいところだなと思えるようになりましたね。

フォトブック「HOME」
2022年4月に発売された眞島さんの故郷、米沢を舞台にしたフォトブック「HOME」。眞島さんが幼少期から通っていたお店や、初めて訪れた場所など、米沢の魅力がつまった一冊。
俳優 眞島秀和さん

撮影/十河英三郎  取材・文/上野郁美(エフェクト) ヘアメイク/佐伯憂香 スタイリスト/momo

Profile
俳優 眞島秀和さん
眞島秀和Hidekazu Mashima

1976年11月13日、山形県米沢市生まれ。1999年、李相日監督の映画『青〜chong〜』で俳優デビュー。その後『海峡』、『おっさんずラブ』など、数々の話題作に出演。2021年には、東北新幹線が舞台となるドラマ『居酒屋新幹線』で主演し話題となる。映画「ある男」(石川慶監督)2022年11月18日全国公開、舞台「クランク・イン」(岩松了演出)2022年10月~に出演。