ジャンクフードを巡る旅

旅と創造

連載第13回


文・絵 小林エリカ

気づくと深夜のキッチンでひとりポテトチップスを袋食いしている。生理前になると猛烈にジャンクフードが食べたくなる。いきなりカップラーメンをつくりはじめたり、コーラをがぶ飲みしたり。
以前友人とその話をしたら、彼女もチョコレートを貪り食うと聞いて、心の底から安堵した。しかし、ホルモンって本当に恐ろしいわ。

とはいえ、生理前やストレスが溜まった時に限らず、私はジャンクフードに魅了されがちである。勿論、オーガニックの野菜だとか、出汁を使ったお料理、みたいなものが最高であるし、身体にいいってことだって知っている。
わかってはいるのだ。
けれど、わかっていてもダメでも彼氏と別れられないのと同じくして、私はジャンクフードと手が切れない。

夢は、旅先のホテルのベッドで寝転がって、ご当地ポテトチップスを独り占めして一気に食べ尽くすこと(中学生かよ、私)。
どんな味があるのかと、ついつい涎を垂らしながら検索してしまう。
カルビーのページを調べてみると「石川 能登のいしる味」に「青森 ほっくり焼きにんにく味」。絶対美味しいやつだこれは。あと、謎すぎて気になるのは「鳥取 白バラコーヒー味」とか。う〜ん、食べに出かけたくなる。

国内旅行は勿論、海外旅行へ出かけるときも、スーパーの棚(とくにお菓子コーナー)を眺めるのが私の趣味である。大概どこのスーパーでも土産品だとか、食べたことのない菓子がひとつやふたつはあって、パッケージが可愛ければ素晴らしく、そのうえ味が良ければこのうえない幸せ。

ポテトチップスの他、チョコレートやビスケットなんかもいいけれど、私が最も愛するのはグミ。明治の果汁グミも大好きなのだが、やっぱりHARIBOのグミベアーやコーラグミも魅惑的だ。
昨今ではHARIBOもスーパーマーケットで買えるようになったが、かつてまだそれらがレアだった頃、ドイツのスーパーマーケットにずらりと並ぶグミ(しかも見たことのないフレーバーもたくさん!)を見た時には、昇天しそうになった。
これまた涎を垂らしながら検索してみたら、なんとドイツのボンにはHARIBOの直営店というやつがあるらしい。
直営店にはいったいどんなグミがあるのだろうか。私のまだ知らないフレーバーがあるのだろうか。う〜ん、う〜ん、食べに出かけたい。
ドイツでは早々に、学校も店舗も再開される予定だとか。
私たちが旅へ出かけられる日が、はやくやってきますように。

小林エリカProfile
小説家・マンガ家。1978年東京生まれ。アンネ・フランクと実父の日記をモチーフにした『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)で注目を集め、『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補に。光の歴史を巡るコミック最新刊『光の子ども3』(リトルモア)、『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)発売中。